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2015/08/08

genre : エンタメ, 読書

読み継がれる本を伝えたい

 この店を開店させるまで、書店の経験はないという岩瀬さんだが、かつて図書館員として子どもの本担当として、しっかりと勉強し、その後、3人のお子さんを育てる中で、学校での読書ボランティアなどで長く本と接してきた。高校の同窓会がきっかけで、勉強会の講師として来ていただいた児童書専門出版社、童話屋の田中社長に、「子どもの本屋さんなんて、素人がやるのは難しいですよね」と話をしたことから、流通ルートを紹介され、研修させてもらうように、子どもの本の専門店、教文館ナルニア国を紹介され、背中を押された。その頃、赤羽のこの場所に、木造の集合住宅を建てる話があって、その1階に店舗スペースも取れることになった。いくつかの偶然と出会いがあって、流されるように書店を開くことになったと、岩瀬さんは笑う。

 本のセレクトは、驚くほどスタンダード。長く読み継がれる名作をしっかり揃えている。「ドリトル先生」や「ナルニア国」のシリーズは、岩波少年文庫だけでなく、函入りのハードカバーも揃えている。岩瀬さんは、「いい本というのが何なのかは難しいけれど、長く読み継がれている本は置いていきたい」と語る。

童話屋さんの本。
読み継がれる本を。

 エントランスでは、毎月テーマを決めて展示替えをしている。5月は母の日にちなんでお母さんの本、6月はお父さんの本……、8月には戦争をテーマに展開の予定だ。イベントスペースでは、原画展や写真展、トークショウや朗読会をやっている。書店としての活動以外でも、バイオリンのミニコンサートや工芸の体験教室などいろいろな形で人が集まる場、文化の発信の場になっている。

 原画展やトークショウがあれば、その著者の関連書を仕入れ、できるだけ紹介する。うわさを聞いた出版社から新しい企画の相談が来て、店頭に新しい切り口のテーマの本が増えてくる。イベントに来場したお客様から口コミで新たなお客様が来店する。そんな風にして、少しずつリピーターの方が増え、岩瀬さんも少しずつ手応えを感じているところという。

エントランスのテーマ展示。7月は童話屋さんの詩文庫。
庭に面したイベントスペース。

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