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尹美香“銭ゲバ”疑惑が続出しても、韓国が「反日慰安婦カード」を絶対に手放せないワケ

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 日本政府はこれまで合意を忠実に守り履行してきた。合意に基づき日本政府が拠出した10億円から、合意当時に存命だった元慰安婦の7割以上に現金が支給された。

 あれから約4年半、韓国側の一方的な合意無視で、元慰安婦のための財団は解散し、それだけでなく大統領自身が「慰安婦問題は解決していない」と強弁し続け、問題を棚ざらしにしている。

 これまで日本に対して声を張り上げてきた韓国側は、尹氏や元慰安婦支援団体の疑惑続きで、示しがつかない状況に置かれている。

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慰安婦像は撤去されるのか?

 では、正義連と尹氏が徹底的にバッシングされ、韓国社会から駆逐されたならば、抗議集会や慰安婦像はなくなるのか。答えは「NO」である。

 正義連は先に紹介したとおり、数多の疑惑が発覚後に開かれた水曜集会で、慰安婦問題が「普遍的な人権問題」であるとし、活動を続けていくと断言した。当然ながら水曜集会も継続し、慰安婦像を撤去する気もない。会場では「頑張れ」と正義連を激励する声も聴かれた。彼ら活動家にとって水曜集会と慰安婦像は元慰安婦を癒すためではなく、「自らの存在意義を発揮できる場所」として必要なのだ。

 そして、国民とメディアの意識も変わるとは思えない。尹氏の疑惑報道が続く5月20日朝、ソウル市銅雀区にある慰安婦像を傷つけたとして20代の男が逮捕されたが、慰安婦像の存在そのものに疑問を投げかける報道は皆無だった。それが現実である。

尹美香氏について記者会見する元慰安婦の李容洙さん(2020年05月07日、韓国・大邱) ©時事通信社

 つまり、支援団体が不正をしていようが、韓国で「慰安婦」とそれを象徴する像は、汚してはいけないものとして「神聖化」されているのだ。

 現に、尹氏や正義連、ナヌムの家の疑惑がいくら噴出しようが、水曜集会の中止や慰安婦像の撤去について、正面から主張する韓国メディアはないに等しい。韓国国民の怒りは、あくまで正義連と尹氏に向けられている。

 韓国にとって、慰安婦問題は「女性の人権」という「人類普遍の問題」なのだ。このカードを手放すことは永久にないと言っても過言ではない。

 尹氏をめぐる疑惑は、韓国人自身さえ「自国の恥」だと感じてはいる。だが、ここで変に折れてしまっては、日本に負い目を感じることになる。バツの悪さには目をつむり、尻をまくって居直る。日本に対して韓国がとり続けてきた、いつもの態度に今回も向かっているように感じてならない。

尹美香“銭ゲバ”疑惑が続出しても、韓国が「反日慰安婦カード」を絶対に手放せないワケ

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