モネ、ルノワール、ゴッホ、セザンヌらの一級品ばかり
階をまたいで、お次はフランス絵画が展開されている。モネ、シスレー、ルノワール、ミレーにコロー……。印象派を中心としたビッグネームの近代絵画が並ぶ。ネームバリューだけではない、モネならルーアン大聖堂や睡蓮など、画家が連作を描いて注力した代表的作例ばかり。《くぼ地のヒナゲシ畑、ジヴェルニー近郊》は柔らかい色合いが画面いっぱいに広がり、眺めているだけで心楽しくなる印象派の持ち味を余すところなく伝えてくれる。
ゴッホによる肖像2点、《郵便配達人ジョゼフ・ルーラン》と《子守唄、ゆりかごを揺らすオーギュスティーヌ・ルーラン夫人》が並ぶさまがあるかと思えば、その向かいには花や果物が描かれた静物画が5点集められている。シスレー、セザンヌ、アンリ・ファンタン=ラトゥール、クールべ、ルノワールの競演である。色使いや筆さばきの違いが如実に見て取れて、なんとも贅沢な壁面になっている。
その先にはご当地、米国絵画のコーナーがある。ジョン・シンガー・サージェント《フィスク・ウォレン夫人(グレッチェン・オズグッド)と娘レイチェル》や、ジョージア・オキーフの静物画など、作風は全体に伸びやかで、古き佳きアメリカの風情がたっぷり。さらにはアンセル・アダムスらの版画・写真部門、村上隆やデイヴィッド・ホックニーらの現代美術までと盛りだくさん。
これほど地域もテーマもジャンルもバラバラの作品が集まっているというのに、みんな違ってみんないいと、素直に思える。言語表現は翻訳などを介さないと理解できなかったりすることがあるけれど、パッと見て誰もがすぐ理解できるビジュアル・アートの表現は、そのままで世界の共通言語になり得るのだと、改めてそのありがたみを噛み締めたくなる。