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ちょっと可哀想だったスタンリッジ

 一方、16日のロッテ17回戦、スタンリッジはちょっと可哀想だった。阪神やソフトバンクのファンはよくご存知と思うが、スタンリッジは紳士だ。マーティンと比べたらずっと経験豊富な大人のピッチャーだ。この日も5回1/3、4失点と苦心の投球だった。松本剛に四球を出し、6回1死1、2塁の場面で伊東勤監督が交代を告げた。そのとき、一瞬考える顔をして、スタンリッジが何か言い出した。球審に何か言っている。マウンドを降りて球審に向き合ったが、英二コーチ(落合英二投手コーチは登録名「英二」!)が分ける。何と言っても既に出番を終えた選手だ。ベンチ奥に下がって、野球的にはリリーフのチェン・グァンユウ対打者・大谷翔平という、左対左の対決になった。

 が、それで終わらなかったのだ。カウントが2-2になったところで球審がロッテ側ベンチを見る。タオルを首にかけたスタンリッジが文句を言っている。(自分のことも踏まえているけれど)今はチェンのために抗議しているようだ。球審がベンチに向かう。まずい空気だ。伊東監督が間に入るが、暴言を吐いたと見なされ退場処分が下る。僕が聞き取れたスタンリッジの言葉は「ドゥ・ユア・ジョブ!」だ。

 報道によるとスタンリッジは暴言を否定している。「今日は暴言だと言われたが、ストライクじゃないかとジェスチャーして、『しっかりしてくれ!(ドゥ・ユア・ジョブ!)』と叫んだのが暴言と取られたようだ。自分は、侮辱する言葉は発しなかった。僕を知ってる人はわかってくれると思うけど、人を侮辱する言葉は私生活でも使わない」

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 僕の知るスタンリッジはそういうタイプだ。ちゃんと自制していた。あれで退場というのはディスコミュニケーションの産物だ。「でかい外国人が大声でずっと何か言ってる」からお咎めを受けたんじゃないかと思う。14日のマーティンのほうが僕には感情的に思えた。退場にならなかったのはチームが皆でフォローしたからだ。それと球審、2塁塁審、3塁塁審とターゲットが分散したのも助かった。

 そりゃプロなんだから審判は味方につけて、試合中、数センチずつストライクコースを広げていくとか、シーズンを通して貸しをつくっていくとか、そういう話にもなるだろう。それも悪くないが、何かサラリーマンが長く仕事を続けるコツを聞いてるみたいでゲンナリするときもある。マーティンやスタンリッジの「ドゥ・ユア・ジョブ!」の明快さ、率直さ。たぶん誰にだって「ドゥ・ユア・ジョブ!」とブチ切れたいときがあるだろう。僕は嫌いじゃないなぁ。

 世間的にはあまり注目されないパ・リーグ5位争いの渦中に、そしてまったく知られていないファイターズの「お盆連勝」の最中に、こんな思い出に残るシーンがあったのだ。そして単純比較するとファイターズのほうが(まぁまぁと間に入ったりする)チームワークは一枚上を行っている。

追記  そしてファイターズは17日のロッテ戦・延長11回、敵失サヨナラで3連勝を飾った。「◯◯◯」である。こんなことってあるんだなぁ。

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