元慰安婦団体の内紛、日本に与える影響は?
さて、この内紛騒ぎ、韓国でも一連の疑惑により、元慰安婦支援運動は萎縮するのではないかと見る人もいるし、また、日本への影響はないという見方もあるが、冒頭で記したように、日本は今後さらに強力な支援団体を相手にすることになるかもしれない。人材を一新するなど内紛が韓国世論が納得する形で収まれば、しばらく時間はかかっても、原点に立ち戻る可能性が高いように思うからだ。
李さんは2011年8月に韓国の憲法裁判所が出した「韓国政府は日本軍『慰安婦』被害者の日本への賠償請求権に関し、具体的な解決のために努力していない」とした判決も解決されていないとしているし、水曜集会についても「他の方法で存続させていくべきだ」と話している。
現在、生存している元慰安婦は17名(この騒動の渦中、一名が他界している)。李さんのように皆高齢で、自由に体を動かせない人も多いという。李さんの記者会見はこれからの元慰安婦支援運動への生前遺訓になったように思えるのだ。
不逮捕特権目当てで、会見延長?
尹前理事長が国会議員バッジを付けるのは5月30日から始まる新国会から。記者会見の準備をしていると伝えられているが、今のところ日程は明らかになっていない。前出記者は言う。
「国会議員となれば不逮捕特権で国会の同意がなければ逮捕されませんから、尹氏が巨大与党に所属しているだけに手続きがややこしくなる。国会議員という“防弾チョッキ”を着るために会見を延ばしているのだとすればあまりにも卑怯。与党からも当選辞退を暗にほのめかす議員も出てきています。
潔く辞めるか、辞めさせられるか。この判断いかんで、元慰安婦支援運動が尹美香中心主義から被害者中心主義に今一度立ち戻れるか、ゼロからやり直せるかが左右される」
問われる被害者中心主義
李さんは2回目の記者会見でこんなことも語っていた。
「1992年6月25日。元慰安婦だと電話した時に電話口にでたのが尹美香幹事(当時)でした。集りがあるから来てくださいと言われて29日に行って、募金をしているのを見てきました。なぜそんなことをするのか最初は分かりませんでした。(座らされて)募金する人がやって来ておカネを受け取りました。恥ずかしかったです」
この李さんの言葉を聞きながら、2016年に「ナヌムの家」で会った、今は故人となったハルモニの言葉を思い出した。
「少女像? 民間がやっていることだからとやかく言えませんよ。でも、あんなみっともない格好を晒すなんて嫌ですよ、本当は」
李さんは、会見の中で「私がなぜ性奴隷ですか」と、運動の中で使われてきた「性奴隷」という表現にも疑問を呈している。
水曜集会、少女像、そして、支援団体の性奴隷という表現など、被害者中心主義はどこへ向かうのだろうか。