5月が終わろうとしている。
この月の韓国と言えば、6日の新型コロナの行動制限緩和、これと前後するソウル繁華街での集団感染発生が話題となった。また7日の元従軍慰安婦による告発に始まる、元支持団体トップの議員辞職危機で騒然となっている。
一方でこのニュースは外せない。
“ガッガッ逮捕”。
韓国史上最悪の組織的オンライン性犯罪「n番部屋事件」の“元祖運営者”のハンドルネームだ。5月9日に逮捕となり、その後、18日にフォトラインに立った。カメラの前で「被害者の皆様と被害者の家族の皆様に申し訳ないと思います」「間違った性観念を持っていました」と無表情で口にした。
9つの容疑をかけられた“元祖運営者”
「これで3大管理人はすべて逮捕されたことになります。彼は3月に逮捕された通称『博士』の被害者74人(うち16人が未成年)に比べて本人自供で50人前後ですが、『元祖』という点で罪が重い。『n番部屋事件』は彼のやり方を模倣した者か、彼の協力者が生み出した凶悪犯罪なのです。今回の逮捕により『捜査はようやく終盤』と韓国メディアは評しています」(韓国一般紙社会部記者)
デジタル性搾取罪。本人が被害者に接触しないかたちの性犯罪は、大きな衝撃を与えている。淫乱物制作、淫乱物配布、強姦、類似性行為、脅迫、強要など9つの容疑をかけられている。
あらためてガッガッの“犯罪行為”を振り返ってみよう。
女性を「奴隷」扱いし、得た収益は億単位
5年ほど前から性犯罪を繰り返してきたが、本件の直接的な犯行時期は2019年2月頃から8月までだ。スマートフォンアプリやインターネット上に番号などを振り分けたチャットルームを作り、そこに「奴隷」と呼ぶ若い女性に自ら撮らせた性的写真や動画などをアップさせた。これを有料会員に公開、販売することで収益を得ていたのだ。“n番”のnとは「自然数の集合体」の意味で、かみ砕いていえば“某”ということだ。
ガッガッはSNS上でセクシーな写真をアップしている女性に「高額バイトがある」、「警察の捜査」などと声をかけ、個人情報を入手。ここから脅迫をかけ、性的写真をアップさせた。被害者には10代女性も多く含まれている。
「カメラを見つめ自慰行為をさせるのは“基本”でした。なかには男性トイレに裸体で寝そべらせたり、未成年者のレイプ動画を配信することもありました」(同前)
捜査段階では、チャットルームでの残忍な言葉のやりとりも入手された。
「これはゲームなんだよ。奴隷(被害者女性)が1年我慢して、逃げれば解決するゲーム」
政府のデジタル性犯罪被害者支援センター はすべての管理人下のチャット部屋の総数は100ほどと確認。これを眺めた有料会員が26万~30万人いると言われている。チャットの入場料(一人あたり最高で150万ウォン/13万円)から、「管理人」たちが得た収益は3900億ウォン(約341億円)に及ぶとも算出されている。