裸で顔に下着をかぶる若い女性、男子トイレの床に全裸で横たわる少女、うごめく幼虫を性器に挿入する女子中学生……。未成年者と若い女性を使ったサディスティックなわいせつ動画を「テレグラム」で流布した、いわゆる「n番の部屋」事件が韓国社会に衝撃を与えている。
「テレグラム」とは、高いセキュリティと秘匿性で人気を集めているメッセージアプリだ。テレグラムのサーバーは韓国では追跡不可能で、テレグラムで交わした会話の内容は一定時間が経つと自動削除される。証拠が残らない会話ができるため、これまでもたびたび犯罪に悪用されてきた。
3月19日、韓国警察によって児童・青少年保護に関する法律違反罪などで拘束されたのはチョ・ジュビン容疑者(24)。韓国警察によると、チョ容疑者は「博士」というハンドルネームを使って、テレグラムに「博士の部屋」という有料チャットルームを開設し、青少年と女性を脅迫して作ったわいせつ動画を流通させて数十億ウォン相当の収入を上げていた。
女性の個人情報が手に入ると“豹変”
2019年からこの事件を取材してきた「国民日報」や「ハンギョレ新聞」などの報道を総合すると、チョ容疑者の犯罪行為は次の通りだ。
チョ容疑者は、ツイッターなどのSNSに「広報アルバイト募集…簡単なアルバイトでひと月に300-600万ウォンまで稼げる」などという広告を掲載して、未成年者を含む若い女性を募集。それに応募してきた女性に対して、チョ容疑者は広報の仕事ではなく、オンラインデートやモデル業と称したアルバイトを勧めていた。
経済的に苦しい女性たちを狙い、「自分の写真を撮って送るだけ」などと甘い言葉で誘い、最初のうちは顔と身体の一部を撮って写真を送るなど比較的に手軽な要求からはじめていたようだ。そして、写真が届くと「お金を振り込む」と言って、名前や住民登録番号(マイナンバー)、電話番号、住所などの個人情報を聞き出していた。
個人情報が手に入った後は、一気に要求がエスカレートしていく。
「裸でパンツを頭からかぶって逆立ちをしている映像を撮れ」
「服を脱いでベッドに横になって、発作を起こすように目を覆って体を震わせる映像を撮れ」
「器具を使ってマスターベーションをする映像を撮れ」
彼女たちが要求を断ると、脅迫が始まる。
「家族と友達に知らせる」
「今まで送ってきたお前の写真をインターネット上にばらまく」
「人を家に送って殺してやる」