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 いまや性的動画を流すチャットルームの総称となっている「n番の部屋」だが、元々は、10代と推定されている「ガッガッ」という人物が作ったチャットルームの名前だった。いわば「博士の部屋」の源流ともいえる存在だ。

 ガッガッは、2018年頃からテレグラムに「1番」から「8番」までのチャットルームを開設し、未成年者のわいせつ動画を配信しはじめた。ガッガッのチャットルームは俗に「n番の部屋」と呼ばれたことから、この手のチャットルームの代名詞となったのだ。

 ガッガッも、やはり「奴隷」と呼ぶ女性を脅迫して、猟奇的なわいせつ動画を撮らせたが、2019年夏ごろ、急に「ワッチマン」と称する人物に「n番の部屋」の運営を譲渡し、姿を消してしまった。その後、ワッチマンは2019年9月に逮捕され、正体が38歳の会社員と判明したが、ガッガッはいまだ行方が分からない。

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文大統領自ら「全会員の調査」を指示

 チョ容疑者は現在、児童わいせつ物制作、脅迫など12の容疑で拘束されて捜査中だが、最高で無期懲役となる可能性がある。

 だが、この悪辣な手口に、韓国人の憤りは収まりそうにない。大統領府の国民請願欄には「博士の部屋」と「n番の部屋」についての5つの請願があり、計500万人が賛同。請願では、動画を視聴していた会員の身元も全て公開することを要求している。

チョ容疑者だけでなく、「博士の部屋」に集った会員に対しても厳重処分を求める声が強い ©AFLO

 実際に韓国社会では、チャットルームに参加した視聴者に対する厳重な処分を求める声が日に日に高まっている。

 文在寅大統領は3月23日、「n番の部屋(博士の部屋)運営者のみならず、会員全員に対する調査が必要だ」と特別に指示を出した。さらに閔鉀龍警察庁長官も「可能なあらゆる手段を講じて生産、流布者はもちろん、加担、幇助した者も最後まで追跡、検挙することを約束する」と述べた。

 このような雰囲気の中、3月27日には、「博士の部屋」の有料会員だった40代の男性が悩んだ末、自殺する事件も起きている。

 今回の事件を受けて、韓国国内では性犯罪に対する議論が活発化している。現行法の処罰が軽いために性犯罪者が量産されたと考えられているのだ。その反省の元、性犯罪を根絶するための強力な対策が求められている。