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会員が共有する「博士の大百科事典」とは?

 チョ容疑者は被害女性らを「奴隷」と呼び、彼女たちを脅迫して撮らせた猟奇的なわいせつ映像を「作品」と称した。すべての被害女性に「奴隷」「博士」などの言葉を体に刻ませ、その写真を撮らせて、「博士が作った奴隷」の証しとしたという。

 このように集めたわいせつ動画は「博士の部屋」というテレグラムのチャットルームを通じて流布された。チョ容疑者は、3つのチャットルームを開設し、その入場料の額によってアップロードするわいせつ動画の内容を調節していた。

「博士の部屋」の画面。入場料は70万ウォンとある(「国民日報」ウェブサイトより)

 入場料は、20万ウォン(約1万7500円)から最高150万ウォン(約13万円)。会員は1万人ほどいたという。その支払いはビットコイン、モネロなどの仮想通貨でのみ受け付け、最も高額の部屋に入場する会員には顔写真と連絡先の提出を求めるなど、視聴者側のセキュリティを徹底していた。

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 最高額の入場料を払った会員は、チョ容疑者が「奴隷」たちを陵辱する場面、たとえば刺激的なポーズを命令したり、見知らぬ人を誘惑して性行為をするように強要する映像を、リアルタイムで視聴する権利を与えられた。さらに、チョ容疑者は熱心に活動する会員を「従業員」と呼んで、彼らにマネーロンダリングを手伝わせたり、被害女性を強姦する画像に参加させたりして、自らの犯罪に巻き込んでいった。

 チョ容疑者は、被害女性らの映像や個人情報を掲載した「博士の大百科事典」という資料も作っていた。

 この資料は、一部の会員たちに共有され、会員は「事典」に掲載されている被害女性に直接連絡を取って、「博士」に代わって脅迫することもできた。この「博士の大百科事典」には未成年者はもちろん、知的障害者や外国人ら数十人の個人情報も記載されていたという。

「博士の部屋」の会員同士が映像を見た感想をチャットしている画面(「国民日報」ウェブサイトより)

元祖「n番の部屋」管理人は行方不明

 博士の部屋に潜伏しながら事件を取材してきた「国民日報」の特別取材チームは、次のように打ち明けている。

「アップロードされた映像を見る度に、吐き気とともに自分たちも加害者になったような罪の意識に苦しんだ」

 しかし、「博士の部屋」に集まった万人単位の視聴者は誰一人ためらったり、犯罪行為として問題視したりすることはなかったようだ。それどころか、「博士の部屋」と類似したチャットルームが、テレグラムだけで少なくとも30以上運営されており、これを26万人が視聴していたとも言われている。