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「いまは月給8万円ですが…」小料理屋の女将に転身! 元『笑点』ディレクターに聞く“独立後の本音”

中田志保さんインタビュー #2

2020/06/21
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――今後は、どんなふうに今のお仕事を発展させていきたいですか?

中田 この店はずっと続けていきたいですけど、先のことはまだ考えられる状態じゃないですね。特に、今はコロナ騒ぎでこんな状況ですから、先がまったく読めません。でも、「笑い」や「楽しみ」って、人間にはやっぱり必要なものだと思います。それがなかったら、私は死んじゃうので(笑)。どんな世の中になったとしても、みなさんに楽しんでもらえる場所を作り続けていけたらな、と思っています。

――テレビ局のディレクターから小料理屋の女将へ。その大きな転身の中でも、ご自身の中で一貫しているものがあるとすれば、それは何だと捉えていらっしゃいますか?

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落語の公演中(中田さん提供)

小5のときの自分が「いいね!」と言ってくれるか

中田 この間、小学校5年生のときの親友が店に来てくれたんです。すごくうれしかったんですけど、そのときに言われたのが、私たちみんなで交換日記をやってたよね、ということで。7、8人でそれぞれ漫画を描いて、回していたんですよ。

――交換日記、確かに小学校で流行りましたね(笑)。

中田 それで、彼女が言うには、そのとき他の子はみんな可愛い少女漫画を描いていたのに、私だけはなんかタコ星人が出てくるギャグ漫画を描いていて、それがめちゃくちゃ面白かったんだよ、と。私はそんな漫画を描いたことも覚えていなかったんですけど、「その頃と同じように、今も道なき道を歩いている感じが、すごく志保ちゃんっぽいよ」と言ってもらえて。

――小学生の頃の自分が、今も生き続けている?

中田 やっていることは意外と一貫してるのかな、と思えて嬉しかったんです。やっぱり大きな会社にいるときは、自分がどんな会社にいるかとか、どんな学校を出たかとか、そういう面から自分自身のことを考えてしまいがちなんですけど、たぶんそれはそんなに重要ではなくて、本当の根っこは「小学生の頃の自分は何をやっているときが一番楽しかったか」ということじゃないかと思うんです。小5のときの自分がタイムスリップして、「いいね!」と言ってくれるような仕事ができているか……それこそが大事なんだと、この店を開いて初めて気がつきました。

 

撮影=深野未季/文藝春秋

中田志保(なかだ・しほ) 

1979年、神奈川県生まれ。東京大学卒業後、2002年、制作職として日本テレビに入社。ADを経てディレクターとして様々な番組制作に携わる。主な担当番組は、「マイ☆ボス マイ☆ヒーロー」「ホタルノヒカリ」「ハケンの品格」「笑点」など。2016年、日本テレビを退社。同年9月「落語・小料理 やきもち」をオープン。同店の経営者兼女将となる。

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