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「いまは月給8万円ですが…」小料理屋の女将に転身! 元『笑点』ディレクターに聞く“独立後の本音”

中田志保さんインタビュー #2

2020/06/21
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――なるほど、だから秋葉原なんですね。ディレクター時代と今とを比べて、「落語」という共通点はありますが、一方でご自身の中で「ここは大きく変わったな」と思われる部分はありますか?

中田 そうですね……。たぶん性格はすごく変わったんだろうなと思います。

一人になったとたんに「なめられまくります(笑)」

――それは、どういう風に?

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中田 細かいことを気にしなくなりましたね。ちょっとおおらかにはなったかなと思います。ディレクター時代は、そんなに細かいタイプではなかったんですけど、それでもちゃんと仕事しなきゃというのがあったんです。でも、今はそんなこと言ってられないので、適当なときは適当でいいかな、という感じです。

 

――常に全力でやっていたら体が持たない?

中田 それもありますし、これは会社を辞めてから気づいたんですが、やっぱり大きい会社って、周りの人もちゃんと選ばれし者たちが揃ってるんですよね。何かをお願いすれば、ちゃんとその仕事をやってくれるというのが、少なくとも前提になっている。でも、一人になったとたんに、お金を払わなければ何もやってもらえないし、お金を払っていてもちゃんとやってもらえない、みたいなことがザラに起きるんです。

 クオリティの低い仕事をされるのが当たり前になると言うか、とにかくなめられまくります(笑)。性格的に、そういうことがあっても「ま、しょうがないか」と思えないと、個人でやっていくのは辛いかもしれません。

“笑って楽しめる”場所を作り続けたい

――それでも、やっぱり好きなことを仕事にできているのは楽しいですか?

中田 好きなことをやっているから、というよりも、今はお客さんの反応がすごくダイレクトに伝わってくるので、それが楽しいですね。帰るときに「すごく楽しかったよ」とか「料理、おいしかったね」と仰っていただいたりすることが、心の栄養になっています。

 

――テレビの場合は、視聴者のリアクションがはっきりとは見えないですもんね。

中田 私が働いていたころは、放送の翌日に電車に乗って、誰かが番組のことを話題にしているのを聞いたら、「あ、視聴率15%超えたな」みたいな感覚はあったんです。でもいまは、自分の目の前でお客さんの反応を確認できるので。何かを思いついたら、すぐに試せますし、そういう点でもやりがいを感じる瞬間は圧倒的に増えました。