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岸田 僕がやりたかったのはまさにそれなんです。普段行く美容院の方から「放送後、3年間美容師が増えたから、その世代の美容師が一番多い」と聞きまして。その頃は美容師の専門学校まで出来たというんです。それで木村さんの影響力は尋常じゃないぞ、この仕事は飲食業界のために必ずやらなきゃいけないことだと思いました。

有働 ドラマでの、木村さんのシェフ姿はどうでした?

「SMAP×SMAP」と同じチームが現場に

岸田 「SMAP×SMAP」で料理をずっとやられていましたから、すごくお上手で、全く違和感がなかったですね。今回、僕はお店の仕事もあったので、完成品だけはお店で撮らせていただいて、役者さんと映り込むものは服部栄養専門学校の先生が現場に行って作るという分業制でやったんです。そのチームが「SMAP×SMAP」と同じチームだったそうで、撮影はすごくスムーズでした。

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岸田周三さん ©文藝春秋

有働 木村さんとは、お話しされました?

岸田 打ち上げのときにお話しさせていただき、お店にもご家族で何度か来ていただきました。

 木村さんは、撮影中にアイデアをどんどん出してくれるんです。ドラマの最初はスケジュールに余裕があるのですが、終盤に差し掛かるとどんどん切羽詰まってくる。毎回1話につき1品のレシピを考えればよかったのですが、最終回では1週間で全部のメニューを一新することになって「とても間に合わない」と思っていました。そうしたら、木村さんのほうから、「この調理法でこうやったらどうか」とか、「こうすると見栄えがよくなるんじゃないか」とご提案をいただいて。特に最終話のマグロの料理は、木村さんが逆提案してくれたから生まれたようなものだったので、本当に助かりました。

出典:「文藝春秋」6月号

 世界に誇る日本人シェフ岸田周三さんと有働由美子さんの対談「料理人は“ワンマン”でいい」は、「文藝春秋」6月号及び「文藝春秋 電子版」で公開中。全文では「三ツ星を獲り続ける理由」、「星付きシェフを育てる教え方」、「劣等生だった8年間」、「料理人としてのストイックなまでの働き方」など、ビジネスパーソンに響く岸田さんの仕事術に迫っている。

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文藝春秋

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料理人は“ワンマン”でいい