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リアリティショーで同性に告白され、相手を殺害

 もっとも衝撃的な事件は、1995年、TVショー「ジェニー・ジョーンズ・ショー」(スタジオに招かれた視聴者に秘密のゲストが秘密を告白する番組)で起きました。

 この番組に招かれたジョナサン・シュミッツに対して、“秘密のゲスト”として登場したスコット・アメデュアが告白した秘密とは、シュミッツに性的な好意を抱いているということでした。シュミッツは、同性の友人であるアメデュアの告白に混乱しながらも、その場では番組の進行に調子を合わせていたようです。

 ところがその3日後、シュミッツは、なんとアメデュアを殺害してしまったのです。シュミッツは殺人を犯したことは認めつつ、アメデュアの告白に怒りを覚え、また辱められたと主張しました。

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 もちろん、これは彼の行為を正当化できる言い分ではなく、シュミッツには第2級殺人罪が適用され、25年から最高で50年までの懲役刑の判決を受けました。

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 一方で、殺されたアメデュアの遺族は、番組プロデューサーの責任を追及しました。シュミッツの精神疾患と薬物乱用の経歴を考えれば、番組の演出が彼の自尊心を傷つけることは予想できたとして、7000万ドル余(=約70億円)をもとめる裁判を起こしたのです。

 第一審において陪審員は、番組側の責任を認め、番組プロデューサーに対して、遺族に2933万ドル(=約27億円)超を支払うよう命じました。

 これに対し、第二審は、番組には「スタジオを出てから3日後にシュミッツが殺人行為を犯すことを予測する義務も、これを防ぐ義務も存在しない」として、番組側の責任を否定しました。

 番組側の責任をめぐって第一審と第二審で、正反対の判決が出ている点が興味深いところです。

「テラスハウス」のケースではどうなるのか?

 では「テラスハウス」のケースではどうなるのか。木村さんの死について番組側の責任は認められるでしょうか。

 本件では、番組があえて木村さんの“悪役っぷり”を煽るような演出がなされ、木村さんが傷つくに任せていたとも言われる点が問題とされそうです。

 木村さんが番組に出演するにあたって結んだ契約の中には、出演者の安全を図るような最低限度の義務は含まれるはずです。ですから、(1)番組側がそうした義務に違反したのか、(2)違反したとして死についてまで責任を負うか、という点が検討されることになります。

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 上記のシュミッツの事件のように、出演者への加害行為が予測されるような演出をあえて行うことについては、番組の作り方次第で責任が認められる余地はありそうです。