「邦高洋低」と言われる状況が続いていますが、意外にそろそろ半々になってきている気がする昨今。今年は春先から、洋画では『美女と野獣』(17年)、『SING/シング』(16年)など、数週間は興行収入のトップを走っている作品があります。親が同伴することになる、お子様向けの吹替えなども功を奏しているかもしれません。

 現在、人気の高いアニメシリーズ『怪盗グルーのミニオン大脱走』(17年)を相手に、健闘している実写の洋画が『スパイダーマン:ホームカミング』(17年)です。監督は小規模映画を2本撮った後、大抜擢されたジョン・ワッツ。彼の経歴からすれば、予算も桁違いな超大作です。スパイダーマンを演じるのは、期待の若手俳優トム・ホランド。

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 しかし、この2人の名前だけを挙げても「じゃあ観に行こうか」とは、なかなかなりませんよね。『スパイダーマン』の新作だから観る、というかたも多いでしょうが、今回は特にマーベル映画の新作として観ておく、という層が中心だと思います。

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 マーベル・シネマティック・ユニバース(以下MCU)は、まだ始まってから10年未満ですが、様々な人気キャラを抱えています。それらの登場人物が互いの作品を行き交い、豪華メンバーが共に戦うという、アメリカならではの巨大な映画レーベル。ちなみにマーベルの株主は現在、ウォルト・ディズニー・カンパニーですが、『スパイダーマン』の映画化権利はソニーが持っています。それで長らく別行動になっていたんですが、MCUがソニーと提携を組んだので、やっとスパイダーマンも『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(16年)以降、マーベルの他のヒーローと共演できるようになりました。

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 ちなみに、ウルヴァリンといった人気キャラを擁する「X-MEN」シリーズも、マーベル・コミックです。でも『X-MEN』の映画化権利を持っているのは20世紀フォックス。昨年ヒットした『デッドプール』(16年)も、X-MENに関わるキャラなので同様です。X-MEN自体が人気シリーズとなっているため、フォックスもこれを回すのに忙しく、X-MENのメンバーと、ディズニーのマーベル組との交流は、残念ながら今後もなさそうです。