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この3年で友人もたくさんでき、なんと部活動も始めたという。

「ボート部に入ったのは運動したかったから。ずっと1年生のときから先生が言うとった。ボート部入らんかって」

彼女を誘い続けたボート部顧問の中島教諭は、
「彼女もせっかくだんだん色々な事ができるようになってきてるから。やっぱり高校3年間で部活動は大きいんで。マネージャーじゃなくて選手でやれる競技、ボートがいいんじゃないかなと思って」と話す。

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ボートの乗り降りも一人で行い、手慣れた様子だ。

夢華さんは、コックスと呼ばれるボートの舵取りを担っている。
船を直進させることはもちろんのこと、レースの組み立てや声かけなど、こぎ手に安心感を与える重要な役割だ。

この日の練習でも大きな声を出し、進む方向を見られない仲間に支持を出していた。
 

翌月、夢華さんの姿は、長崎県で開催される県高校総体の会場にあった。
闘病中は、想像もしていなかった高総体への出場。

 

もちろん家族も応援に駆けつけていた。

「まさか出られるとは思わなかった。この高総体に選手として出場できてね。夢みたいな話ですね。夢華はやっぱり恵まれていると思う。それは本人が持っている何かがあると思うんだけど、たくさんの人に応援してもらえるしね」

母親の南美江さんは夢華さんの周囲に感謝する。


高総体から3か月が経った2018年9月、この日も父の運転する車に乗って学校に向かっていた。

実は夢華さんは、この1か月前にがんの再発が見つかり、4度目の手術を行った。しかし高校生活最後の体育祭には出場したい。そんな思いから久しぶりの学校へと向かった。

 

クラスメイトが綱引きや応援合戦をする様子を、テントの中から笑顔で見つめる夢華さん。
彼女のTシャツには「一病息災」の文字が書かれていた。
『1つぐらい病気をしたほうが、かえって健康に気をつける』という言葉を選んだのだ。

クラスで踊るダンスでは、クラスメイトが夢華さんの腕を引っ張り、持ち場に連れて行く。仲間との思い出はやはり格別だ。