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退院から5か月。
体調もいい夢華さんは、新たな挑戦を始めていた。
それは車椅子バスケ。

「できることは何でもしてみたい」

それが夢華さんの思いだ。
 

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再びがんが見つかる。「痛い、痛い」夢華さんの悲痛な叫び

しかし最初の手術から1年3か月後、再び、がんが見つかってしまった。

母親の南美江さんもやりきれない表情だ。

「再発が無いってちょっと思いかけた矢先だったのね。こんなに早くとは思わなかったかな。なんでね、夢華だけねって思いますね」

父親の俊之さんも噛みしめるように複雑な思いを話す。

「まだ何があるかわからない。たまたま今回見つかったけど。まだ何があるかわからん。一歩一歩進むだけ。ゆっくり」

南美江さんは「おひさまは必ず登るから」と、自分に言い聞かせるように口にした。

 

2017年1月。
今回の手術も最初の手術をしてくれた宮田医師らだった。久しぶりに会う先生に、不安な心を隠すように笑顔を見せる夢華さん。

腫瘍が見つかったのは、左足大腿部の骨の中だ。
その骨を取り除き、人工関節を入れる手術は約7時間続いた。

 

術後、「足痛い、足痛い……」と何度も口にする夢華さん。
悲痛な叫びに、両親や医師、看護師が心配そうに見守る。

宮田医師は、手術の結果は良好としつつも、「みんなが心配しているのは、やっぱりまた転移とか。今のところは消えているけれども、心配なんでね。できることを僕らは最大限にやるということしかできないので。僕ら外科なので、できたらとにかく取る」と、何が起こるかわからないこの病に全力で共に立ち向かう姿勢を見せていた。

病室を訪れていた姉の百華さんは、がんという病に対する印象が変わったという。

「今までがんは遠いイメージだったけど、こんなに身近で起きるんだなあと思った…」

忙しい中来てくれる貴重な姉との時間に、夢華さんは満面の笑みを見せていた。
 

ボート部に車椅子バスケ。病気を乗り越え活躍するもまた…

2018年5月。
これまでに3度の手術を行ない、がんと闘ってきた夢華さんも、高校3年生になっていた。