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「夢は走ることやね」中学3年で骨肉腫を発症し、左足を切断した少女の物語

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source : 提携メディア

genre : ニュース

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そんな友達と楽しそうな過ごす姿とは別に、真剣な表情で激しい運動をする一面も彼女は持っている。

それは、2年前に出会った車椅子バスケ。

夢華さんは中学の頃キャプテンを努めるほどだったバスケット経験をかわれ、全国障害者スポーツ大会の車椅子バスケ・長崎県代表に選ばれていたのだ。

先輩に厳しく指導をされながら、全国大会までの短い期間、濃い練習を重ねていく。

 

2018年10月、夢華さんの全国大会出発の日に自宅に訪れると、慌ただしく出発の準備が進められていた。

父・俊之さんに話を聞くと、「娘は凄いなと思います。最初の手術からまさかここまでって感じ…」と、驚きを隠せない様子だ。

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4度の手術を乗り越え、長崎県の代表として、各都道府県の代表と戦うのだ。

翌日、娘の活躍を一目見たいと、片道約930km、13時間の道のりを、家族で応援に行く。

 

初戦は強豪、東京都。

家族は翌日に仕事が入っていて、どうしても長崎に戻らなければいけないため、初戦での出場を期待していたが、夢華さんは残念ながらベンチスタート。

 

次の日の北海道との試合。
夢華さんに出場のチャンスがやってきた。

車椅子バスケのルールは、一般のバスケットボールとほぼ同じで、コート上には5人が出場。男女の区分はない。
試合中に車いすが転倒した場合は、自力で起き上がらなければならない。

 

 北海道の選手とぶつかってしまい転倒してしまった夢華さんも、何とか自分で起き上がり、その後なんと初シュートも決めた。

チームメイトの西田聡さんもその活躍を認め、これからの成長に期待する。
「初めて出た試合で、公式戦でこうやってシュートをちゃんと決めるっていうのはすごいことですよ。いい一歩を踏み出せたんじゃないですか」

 

2019年2月5日。
この日は、夢華さん18回目の誕生日。取材を始めた頃、15歳の誕生日は病院で迎えていた。今回は自宅で迎える誕生日。
家族と友人たちが集まっていた。