6月15日の夕方、新聞のウェブ版で「号外」が出た。

《河野太郎防衛相は15日、陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の配備計画を停止すると表明した。》(朝日新聞デジタル)

 読売の速報を見てみよう。

ADVERTISEMENT

「『イージスアショア』、配備への手続き停止…防衛相」(読売新聞オンライン)

《防衛省はイージスアショアを国内2か所に配備する予定だった。このうち、陸上自衛隊むつみ演習場(山口県萩市、阿武町)を適地の一つとしていたが、同演習場でミサイルを発射した場合、ミサイルから切り離されるブースターが演習場外に落下する可能性があることが判明したという。》

「イージス・アショア」の実験施設を視察後、記者団の質問に答える河野太郎防衛相(米ハワイ州カウアイ島) ©︎共同通信社

 大臣の政治判断だ。「開発の費用や期間を考えれば、残念ながら配備は合理的でない」はとても理解できる。しかし、ここに至るある「プロセス」について考えると暗い気持ちになった。

 私は前々回の文春オンラインのコラムを「河野太郎研究」とし、このように書いた。

《今、ツイッターを見て河野氏にふわっとした好感を持つあなた、それは危険もはらんでいますよ。私は自分の体験をもとに言っています。》

 危険とは何か? これ、決して煽ったり情緒的に言ってるわけではなかったのです。

「フェイクニュース」と断言

 河野氏はツイッターでは強気キャラをやりつつ遊んでいるが、あれは逆にユーザーに尻尾をふってるだけに見える。ただ媚びているだけに見える。別にそれはいい。私が問題だと思うのはそうしてユーザーとイチャイチャするのに成功しつつ、警戒すべきは強い「メッセージ」もたまに入れてくることなのだ。

 その具体例が「イージス・アショア」に関するツイートだった。

 河野氏は5月7日、「『イージス・アショア』秋田市の候補地を事実上断念」というNHKニュースを引用し、

《フェイクニュース。朝からフェイクニュースだと伝えているのに、夜のニュースでも平気で流す。先方にも失礼だ。》

 とツイート。

 さらに《今回のフェイクニュースの先陣を切ったのは読売新聞。》とも。

 おさらいしてみる。

 読売新聞は5月6日の一面で「イージス 秋田候補地断念 新屋 県内軸、再選定へ」と書いた。

《政府は、地上配備型迎撃システム「イージスアショア」を巡り、当初予定していた陸上自衛隊新屋演習場(秋田市)への配備を断念する方向で検討に入った。地元の反対感情が強く、配備は困難と判断した。》

 読売は《複数の政府関係者が明らかにした。》と書いていた。