自民党の河井克行(57)と案里(46)夫妻の摘発が間近に迫っている。昨年7月の広島の参院選をめぐり、広島地検が昨年来、選挙ウグイス嬢の報酬問題から始まり、当人による選挙買収へと捜査の手を伸ばしてきた。
夫妻で地元議員ら約100 人に渡した選挙の買収総額は、実に2600万円に上ることが明るみに出ている。検察当局は6月17日の通常国会閉幕を待って、両人を公職選挙法違反容疑で逮捕するものと目される。
当初、稲田伸夫検事総長の肝煎りで始まった捜査は、すでに大阪地検からの応援検事に代わり、東京地検特捜部の精鋭部隊が主力となって進められている。黒川弘務の辞任を受け新たに東京高検検事長に就任した林眞琴(62)が、東京地検管轄の事件として本格捜査着手の指揮を執る。注目の捜査だ。
捜査の焦点は1億5000万円の“公認料”
捜査の焦点は言うまでもなく、昨年7月21日投開票の参院選に向け、自民党が河井夫妻陣営に振り込んだ1億5000万円の“公認料”である。
同じ選挙区の自民党候補である溝手顕正に対する公認料の10倍という法外な金額が、昨年4月から参院選挙公示日の7月までのあいだに、克行の選挙区である自民党の広島県第3選挙区支部と案里の参院選挙区第7支部の口座へ数回に分けて入金された。
広島県選管が参院選挙費用として認めている上限は4726万9500円だから、そもそも1億5000万円の“公認料”そのものが上限をはるかに超えていることになり、それ自体の問題もある。一方、河井陣営が選管に提出した収支報告書によれば、参院選の選挙運動費用は2405万円、チラシの作成費用などを含めた支出額を2688万9896円と計上している。
つまり1億5000万円からそれを差し引いた1億2311万104円が、不明朗な政治資金といえる。いったいどのように使われたのか。