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ヤクルトの新人広報・三輪正義が今季期待する「3人の男」

文春野球コラム ペナントレース2020

2020/06/19

 4月、緊急事態宣言が出て職員は在宅勤務になりましたが、その間はずっと企画を考えていました。ファンの方々が、野球がないときでも楽しんでもらえるSNSの企画を考えました。そのとき思いつき、最近ようやく形になったのは「スワQ ~選手が選ぶ忘れられない名場面~」という動画です。選手たちが自分のプレーに関する問題を出すという球団公式YouTubeで見られるものです。今まではTwitterが広報のメインツールでしたが、YouTubeの登録者数も増やして、SNSを強化したいと考えていたんです。

 こういうときは去年まで現役だった強みで、選手にはグイグイ行きたい。でも、ユニフォームを脱いだんだし、あまりに馴れ馴れしい関係も良くないのかな、と悩んだりもしています。でも、僕のことを先輩とも思っていない後輩たちから「三輪さん相変わらずだな」と思われるのもしゃくなので、適度な距離を保って接しているつもりです。

 動画は結構苦労して撮影し、ある程度のところまで編集もしているのですが、ファンのみなさんからは「問題が簡単すぎる」という“苦情”も寄せられたので、今度からはもっと難しいものにしようと思っています。

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広報三輪が今シーズンに期待を寄せる3人の男

 今年は120試合、かつホームでいきなり15連戦と超変則日程となってしまいましたが、選手たちは準備万端です。

 そのなかで、広報として期待する選手を野手、投手、捕手で3人あげたいと思います。

 まずは野手。坂口智隆。坂口は首位打者を取ります。もうこれは決まっていることなんです。昨年、ケガをして坂口がファームにいるときに僕はずっと言い続けていました。「大丈夫、大丈夫。来年は首位打者なんだから、これは決まっている。安心しろ」って。

 そんな坂口は「いや、ワシ手ぇ痛いやん」とかボヤくんですけど「大丈夫、治るから」って僕は勝手に言ってたんです。全国5000万人の坂口ファンの皆さん、安心してください。とにかく明るい安村じゃないけど、坂口は首位打者を取ります。これは決定事項なんです。

 投手は2年目の坂本光士郎。左でストレートは140キロ後半が出て、本当にいいピッチャーなんですよ。でも気持ちで負けることがある。それまでいい球投げてるのに、フォアボール出したりすると、急にふっと気持ちで負けることがある。

「ふざけんなお前! お前は誰と勝負してんだ!」と去年はわざわざベンチで活を入れた男です。なぜ坂本が気になって仕方がないかと言うと、坂本の高校時代の恩師・如水館高校の迫田監督(現・竹原高校監督)が僕の高校時代(下関中央工業高校)の恩師・山崎康浩監督(現・南陽工業高校監督)の恩師なんです。言ってみたら全く縁のない後輩ではない。だから面倒見るといったら偉そうかもしれないけど、どうしても今年は活躍してもらわなきゃ困るんです。

 最後は3年目のキャッチャー松本直樹。彼は香川出身で、僕が独立リーグ・香川オリーブガイナーズにいた時、小6の松本少年にサインをしたそうなんです。聞けばそれはプロ野球選手からもらった初めてのサインだとか。そんなこと言われたら絶対放っておけないじゃないですか。

 しかも、松本は去年の僕の引退試合でプロ入り初ホームランを打ってくれた情に厚い男。確かに楽天から嶋も入ってきて、キャッチャーの層は厚くなったけど、松本は捕ってから早いし、セカンドスローはチームで一番。1軍で出られないわけがない選手なんです。

 さて、文春野球でこうして初めての打席に立ったわけですが、開幕戦の相手と同じドラゴンズと、HIT数の多さで白黒をつけるというルール、実は監督さんに言われるまで知りませんでした。

 現役時代からプレッシャーには強いほうですが、果たしてHITを押してくれるか少し心配になってきました。僕のことを慕う後輩は多いはずなんで、大丈夫だとは思いますが……。

 頼むよ、原樹理。

◆ ◆ ◆

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