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楽天・三木肇監督が上宮高校OBに送った金言は、売れない若手時代を思い出させてくれた

文春野球コラム ペナントレース2020

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山田哲人が「三木さんがいなければ、今の自分はない」

 そして祝賀会は終わり、2次会は少人数で行われた。ありがたくその場にも誘っていただき、改めて僕と同い年の上宮高校野球部OBが集まっている興奮に酔っていた。

 僕と同い年の上宮……。

 高校時代はソフトテニス部だった僕の周りには素晴らしい選手が沢山いた事もあり、2年の秋に兵庫県で団体優勝させてもらった。しかし、その先の近畿大会で見たことないもないような怪物達がいた。その中でも大阪代表の怪物ペアは印象的だった。上宮高校の田・浅井組だ。部活は違えど同じ学校の同い年、もしかしたら覚えてる人がいるかも知れないと、聞いてみた。

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「えっ? 田ですか? かみじょうさんの後ろに座ってますよ」

 懐かしい話で盛り上がったのは言うまでもないが、野球部だけだと思っていた祝賀会には同い年のソフトテニス部、柔道部や剣道部ほか、沢山の仲間がかけつけていた。

 三木監督は、福留孝介(PL学園)、山下勝己(近大付)と並び大阪遊撃手三羽烏として、当時の高校野球界で有名だった。ドラフト1位でプロ野球選手になるほどの実力があるがゆえ、お前達とは違う、との勘違いからくる同級生からの孤立などよくある話。だが、そんなことはこの人には関係のない話だった。

 高校卒業から25年経とうが違う部活の仲間まで集めてしまう人間的魅力。実力がズバ抜けようが、他競技の仲間とまで同じ温度で笑ったり、腹立てたり、時には泣いたりしてきたのだろう。

 山田哲人に「三木さんがいなければ、今の自分はない」と言わせ、「人としてのありようを教わった」と西川遥輝に語らせる。マンツーマンで指導した中田翔に飛躍のきっかけを与えた。

 山田らにもスピーチ同様「人と同じことが出来る力」を説いた匂いがぷんぷんするのは僕だけだろうか。

 三木新監督が率いる今シーズンの東北楽天ゴールデンイーグルスは、どう考えても強い。

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