2020年6月19日。ついに、ついに、待ちに待ったプロ野球が開幕しました。

 史上初となった無観客での開幕。

 落語のほうは徐々にですが元通りになりつつあり、先日コロナ以後初めてお客さんを入れての落語会がありました。

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 ウケる。そないにウケない。前のめりの人。退屈そうにしてる人。

 コロナ禍でお客さんの反応がないオンラインでの落語会を主催者も演者も模索してきたなか、少しずつそういう形に慣れつつあったので、一つ一つに生の反応があるというのはこんなに有難くてシビアなものなのか、と改めてしみじみと感じましたし、かつての普通を思い出すような感覚でした。

 正直無観客で落語をやるやりにくさはありましたが、オンラインにすることによって今まで物理的に来ることができなかった方や、画面上で気軽にテレビ感覚で見たいという方々にも落語を聞いていただける間口が拡がったという意味ではオンライン配信はすごく良い試みだったし、今後も続けていくべきだと思います。

 先日の落語会も「集客してのライブ+有料オンライン生配信」というDAZN的な形で(規模はシロナガスクジラとノミほどの違いがありますが)行ったのですが、来場のお客様はもちろん、画面で見ている方々にも熱量を届けたいという気持ちになり、僕にとってはすごくプラスになった良い落語会でしたし、今後この形の落語会がもっと増えてほしいなと思いました。

 DAZNさん、死ぬほど採算取れないと思いますが、RAZN(ラゾーン)作ってもらえないでしょうか。僕はまずは“ファーム”の方で頑張りますので。

 って、すいません。ちょっと長めのマクラになってしまいました。そろそろ本題に入りましょう。

 ここからはスワローズ推しのイチ客目線で書かせていただきます。

 無観客試合によって、いつもは聞こえなかった捕球音、打球音、走り抜ける音、踏ん張る音、フィールド、ベンチの選手の声が聞けるというのはとてつもなく嬉しい事でした。

 とくに個人的に一番嬉しいのはベンチの声。

 三振やホームランで盛り上がるのはもちろんですが、ファウルで粘る選手への「いいよー! 合ってきたよー!」とか、バントを決めた選手への「ハイ! 練習通りー!」というかけ声は普段の1軍の公式戦だとまず聞けなかったし、一球一球に誰かが何かしらの声をかけているのがよく分かるので、凄く臨場感を感じました。

  そして、ドラゴンズとの開幕3連戦を観ているうちに何となくですがこれが誰の声なのかというのが分かるようになってきました。

「ベンチで笑いを提供する選手は、代打で1安打の価値がある」

  スワローズを3度の日本一に導いた名将、野村克也監督の言葉の中に「ベンチで笑いを提供する選手にはたとえ試合に出場しなくてもそれなりのプラスの点が与えられる。代打で1安打するのと同じくらいの価値がある」というものがあります。

 南海時代、常にベンチからチームを盛り上げていた大塚徹選手(ヤクルト→南海。息子さんは大塚淳ブルペン捕手)を球団が解雇しようとした際、野村監督は「やめてくれ! 大塚は役に立っている!! 立派に試合に参加しているんや!!!」と猛反対し、解雇が取り下げられたということがあったそうです。

 あの野村監督をして「ヤジらせたら天下一品」と言わしめた大塚選手のヤジ、ぜひ生で聞いてみたかった。

 絶対今の時代だと問題視されるものばっかりだったと思いますし、そのヤジを想像するだけでニヤニヤしてしまいます(笑)。

 人間には誰しも【心の機微】があります。とくに野球は一人一人の【心の機微】が如実に表れるから面白い。

 イケイケな時、クヨクヨしてる時。イケイケな時はそれをさらに乗せてあげればいいし、クヨクヨしてる時に気を上げるようなチームメイトの言葉というのは、とっても大事だと思うんです。

 その一つ一つは「あなたが出会う最悪の敵はいつもあなた自身であるだろう」というニーチェのような名言である必要はなく、「ナイス!」とか「ドンマイ!」という当たり前の声かけでいい。

 もっと言うと、寄り添って肩を組むだけでもいい。

 声かけ、コミュニケーション。

 この3連戦でこれを常にやっていたのが、嶋基宏選手、斎藤隆投手コーチ、そしてスワローズの4番、村上宗隆選手でした。