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「どうせウマくないでしょ」から大逆転 横浜郊外フードコートのそば屋に行列ができた“商売の鉄則”

2020/06/23
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 松本さんは「そば処かめや」社長の荒川雄行さんや鰹節問屋の「丸勝かつおぶし株式会社」社長の真辺健治さんを通して知り合った方で、実は某十割そばチェーン店を立ち上げ、成功へ導いた、その世界ではよく知られている達人中の達人である。しかし、話をするとフレンドリーで物腰は柔らかく、とてもチャーミングな方である。

店長の松本一彦さんがフロアーに出てきて笑顔で迎えてくれた。

「二八蕎麦 久右衛門」は株式会社越後屋が経営するそば店である。平成13年に虎ノ門でうどん屋として1号店を開店し、その後浜松町店などを立ち上げた。現在はノースポート・モールのほかに、虎ノ門「福禄寿蕎麦」、有明「極麺 たけぞー」などを展開中である。

「二八蕎麦 久右衛門」は2013年にオープンして、今日に至っている。

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「はじめはまったく売れなかったんですよ」

「はじめはまったく売れなかったんですよ」と松本さんは切り出した。

 その理由が実に面白い。従来のフードコートのそば屋は、「旨くない」という先入観がお客さんにあったという。ハンバーガー、カレー、ピザ、パスタ、オムライス、ラーメンなどのメニューが人気の主流だった。

 しかし、徐々に「二八蕎麦 久右衛門」のそばがうまいことが認知されだして、売り上げをじわじわと伸ばしていった。店舗は狭いがフードコート内に出店している店舗の中でも、売り上げは常に上位に入るという。

 しかしながら、コロナの影響は相当厳しかったそうだ。

「昨対で2月まではよかったんですが、3月になり土日休業、4/8~5/24まで全館休業となり、もう途方にくれました」

コロナの話になると、険しい表情に

「ああ、開いてた。店がちゃんとあった~」

 落ち込んでいても仕方ないと、社長の江波戸千洋さんとメニューの開発や再開後の人員にやりくりなどの体制を整え、再開を待っていたそうだ。

 そして、再開すると意外なことがあったと松本さんはいう。