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《渡部不倫》精神科医が分析「妻を愛していながら、自己愛と性欲はなぜ暴走したのか」

《渡部不倫》精神科医が分析「妻を愛していながら、自己愛と性欲はなぜ暴走したのか」

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「自己愛性パーソナリティ障害のように他人の気持ちや欲求に気づかない、いや気づこうとさえしない人の近くにいると、自己評価が低下し、自発的な発言ができない無気力状態になることが少なくありません。特に夫婦関係で多いのですが、渡部さんと児嶋さんはビジネス上では漫才の相方であり、まさしく“夫婦”のような関係です。渡部さんの『共感の欠如』のせいで、児嶋さんが何も言えない状態に陥っていた可能性は十分考えられます」

性欲の暴走に拍車をかけた自己愛性パーソナリティ障害

 渡部は今回、複数人と性的関係にあったと報じられている。乱行パーティに参加したり多目的トイレで性行為にふけるなど、旺盛な性欲に驚いた人も多いだろう。

「47歳という年齢で、複数女性との長期間にわたる不倫関係から、一般的な男性と比べてかなり性欲が旺盛であるという印象を受けます。しかも、これだけ芸能人の不倫がセンセーショナルに報じられているのに、まったく自制できない。このように性欲をコントロールできず、暴走する状態を『サチリア―ジス(異常性欲亢進)』と呼びます。典型例はスペインの美男で好色な放蕩児、ドンファン。常に女性を誘惑していたという伝説上の人物です」

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犬の散歩をする渡部と佐々木。2018年7月撮影 ©文藝春秋 

 自己愛性パーソナリティ障害とサチリアージスの間に相関関係はあるのだろうか。

「自己愛が強いのが自己愛性パーソナリティ障害、性欲が強いのがサチリアージスなので、直接つながりはありません。ただ、サチリアージスの男性が女性を“性のはけ口”とみなす傾向に、自己愛性パーソナリティ障害が拍車をかけることはあります。自分自身の目的を達成するための道具として他人を平気で利用するのが、自己愛性パーソナリティ障害の特徴ですから。

 もっとも、歴史を振り返ると、偉大な作家や芸術家には、自己愛性パーソナリティ障害とサチリアージスを兼ね備えた人物が少なくありませんでした。次から次へと女性に手を出し、ポイ捨てする。他人を利用するだけ利用して、利用価値がなくなると簡単に切り捨てる。個人的にはつき合いたくないですが、こういう人物が優れた作品を生み出してきたことは否定できません。ですから、作曲家の三枝成彰さんは自身の著作『大作曲家たちの履歴書(下)』で、『偉大なアーティストになるには大悪人でなければならない』とおっしゃっているほどです」

「遊びは芸の肥やし」はもう許されない

「これは、お笑い芸人にも当てはまるのではないでしょうか。かつて、天才的な芸人には、自己愛性パーソナリティ障害とサチリアージスを兼ね備えた方が多かったように思います。だからこそ『遊びは芸の肥やし』という言葉が芸能の世界にはあるのでしょう。

 ただ、それが以前はある程度許されていたのに、最近は許されにくくなりました。渡部さんは謝罪のなかで、佐々木さんからは『すべてを変えて、誠実に、謙虚に、反省しながら生きていく人生にしていかなければいけない』と言われたとおっしゃっていますが、それができれば、彼の才能をまた発揮できる日もくると思います」

 芸人には生きづらい時代なのかも知れない。

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