「調子に乗ってたんですね。天狗だったんですよね」
片田氏は「皮肉なことに、渡部さんの場合は芸能界で成功を収めたことが、悪化の要因になったのかもしれませんね」とも考察する。
「さわやかなルックスの渡部さんは若い頃から数々の女性にモテてきたでしょうし、お笑い芸人としても長く人気を得ていました。数々のテレビ番組で進行役をしているイメージも強いため、お茶の間の信頼も厚かった。渡部さん自身もそれを自覚していただろうと思います。このような状態が続くことで過剰な特権意識が育ち、報道にあったような言動に繋がったのではないでしょうか」
児嶋は先述のラジオでこう発言している。
《調子に乗ってたんですね。仕事もうまくいくし、プライベートも順風満帆だし、天狗だったんですよね。(中略)スタッフさんに対する態度、芸人仲間に対する態度、言わしてもらえれば、僕に対する態度…。振り返れば、ダメですよ、アイツは。お前、何で、そんなひどい、傷つくようなこと言うんだ、思いやり、愛がないんですよ。だからそういうことになるんですよ。(中略)そのとき僕が「お前愛、全然ねえぞ。スタッフさんに対してもそうだ」とか言っとけば、こういうことにならなかったのかな、とかは思いますけど》
《僕なんかより全然売れてるってのもあって、立場的にもなかなかアイツを叱る、っていうのがしづらくて。(中略)10年ぐらい、やっぱ立場的にも僕のほうが弱かったですよ。何か俺が言って本番でいやな空気になっても、本番でアイツに冷たくされても…。こういう僕の弱い部分があいつを甘やかしたんだな、と思います》(ともに2020年6月12日 J-WAVE「GOLD RUSH」より)
コンビであるにもかかわらず、2人が対等な関係ではない
この発言を聞いて、渡部と児嶋の“コンビ間格差”や、児嶋の自信のない発言に同情した人もいるだろう。あまりにも自信のない児嶋の態度だが、片田氏は渡部の言動が大きな影響を与えたのではないかと指摘する。
「児嶋さんの発言を聞くと、コンビであるにもかかわらず、2人が対等な関係ではないことがわかります。児嶋さんは、叱ることができなかった理由を『僕なんかより全然売れてるってのもあって』とおっしゃっていますが、それだけではないはずです。自己愛性パーソナリティ障害特有の『他人の気持ちおよび欲求を認識しようとしない』傾向、つまり『共感の欠如』も原因だったのではないでしょうか」
自己愛性パーソナリティ障害の人は「自分が特別」という思い込みのせいで、他人の気持ちや欲求はどうでもいいと思っていることが多いという。当然他人をぞんざいに扱うが、そういう扱いをされる側が、身体的にも精神的にも多大な影響を受けても不思議ではない。