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コロナ後もウェブ会議だけで満足? 山極京大総長が語る「人間が対面を求めてしまう」深い理由

外出自粛で見えてきた“人間らしさ”

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 ――ZOOM疲れ(Zoom fatigue)。

 アメリカのメディアでは、最近こんな造語を見かけるようになった。

 新型コロナウイルス対策として在宅勤務が推奨される中、ウェブ会議をはじめとするオンラインのコミュニケーションに負担を感じる人が徐々に増えているのだ。

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 ZOOMだけでなく、グーグルやアップル、フェイスブックなどもオンラインツールを提供し、各社がしのぎを削っているが、私たちの暮らしは果たして本当に快適になっているのだろうか。

©iStock.com

意外と好評だった「ウェブ会議」

「文藝春秋」7月号に掲載されている三菱ケミカルホールディングスの小林喜光会長と京都大学総長の山極壽一氏が「コロナ後の世界」をテーマに語った対談でも、企業、大学のそれぞれの現場で活用されているオンラインツールについて話が及んだ。

 今回のコロナ禍で、政府の規制改革推進会議議長としてオンラインによる初診診療を推進した小林氏は、企業におけるウェブ会議に好意的な見解を示している。

「ここ2カ月、私のほうはほとんど自宅での生活で、ウェブ会議ばかり増えてやたら忙しいんですけれど、自分が話す番でない時は外を見てボケッとしたり、自分の映像を消しておいたりといろいろ学びました(笑)」

小林喜光氏(三菱ケミカルホールディングス会長)

「企業のウェブ会議のほうは、『空気を読まないで喋れる』と好評ですよ。どうも、対面だと場の雰囲気を読んだり、相手の顔色をうかがったりして自由に喋れないんですね。ウェブだと、愛想笑いやゴマすりが通用しないのもいい(笑)」

 一方、小林氏と対談した山極氏は「観客の反応が見えにくい分、プレゼンテーションの練習にもなる気はしています」と一定の評価をしたうえで、オンラインツールの限界を指摘している。