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最悪の状況でも大丈夫……オリックスファンが駆使する“心の野球護身術”

文春野球コラム ペナントレース2020

2020/07/05

心の野球護身術、上級者の発想とは

 どの球団にもネガティブなファンというのは存在するし、たとえばクローザーが出てきたとき「またこいつ打たれるんちゃうか」などと言う人間もいる。ただその程度の単純な発想は護身術というほど腹が据わっていないというか、修羅場をくぐってきた説得力を感じない。

 オリックスファンの上級者は、1点差で負けていた9回表に同点打が出て追いついた時こそ不安になって護身術を導入する。他球団のファンなら「延長で勝ち越しだ!」と盛り上がるはずだ。しかしオリックスファンは違う。「これ延長12回まで勝ちパターンの投手使ったあげく12回裏にサヨナラ負けするんちゃうの」に基準点を設定する。そして悲しいことにその通りか、それに近い結果になったりするもするのだが、追いついたすぐ裏のサヨナラ負けくらいだとダメージを受けない。「投手使わないでよかったね」で済む。延長が10回打ち切りの今年なんぞは気楽なものである。

 今シーズンの序盤、オリックスがどんな結果であったかは皆さんご存知の通りだ。開幕3カード1勝8敗、史上初の同一カード6タテは護身術を使ってもなおちょっと怪我をするレベルだったが、その後は体勢を立て直している。心の野球護身術を用いれば、「今年はシーズン終了までが短くて助かる」という点に救いを見いだせる。こうして我々は生きていく。

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 ただ護身術はあくまで身を守る手段であって、球団を応援する本来の趣旨とはベクトルの全く違う話である。1996年のように、護身術なんて発想の無かった時代に戻りたいという気持ちは、忘れずにいたい。気を抜くと護身術だけで脳内が埋まってしまいそうなので、改めて自分にも言い聞かせておく。

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