芸能人のYouTube進出が目立っているが、新型コロナウイルスによる自粛期間中に、その傾向はさらに加速した印象だ。芸能人YouTuberのコンテンツはトークやメイク動画などが多いが、話題、視聴者数ともに目立っているのは「ゲーム実況」だ。特に本田翼や川口春菜、後藤真希などの女優、タレントが続々とゲーム実況に参入し、ネットユーザーやゲームファンから注目を集めている。その理由とそれぞれのYouTubeチャンネルの特徴を取材した。(取材・文=素鞠清志郎/清談社)
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確実に視聴者数を稼げる鉄板コンテンツ
ゲーム実況は、インターネット黎明期から人気のジャンル。「ヒカキン」や「はじめしゃちょー」などの人気YouTuberも、サブチャンネルなどでゲーム実況を行っており、確実に視聴者数を稼げる鉄板コンテンツとなっている。近年では、自身はゲームで遊ぶことはほとんどないが、実況動画はよく観ているという人も多く、その裾野は広がり続けている。まずはゲーム実況動画の変遷について、ゲーム・エンタメ総合情報サイト「ファミ通.com」の編集長・三代川正氏に聞いた。
「ゲームプレイを実況するという行為は、ファミコンブームの頃から一部のユーザーで行われてきた、うまいプレイをビデオに録画するというものの延長線上にあって、メディアの進化と共に発展してきたものだと思います。日本ではテレビ番組の『ゲームセンターCX』が先駆的で、有野晋哉さんが悪戦苦闘しながらクリアを目指す姿を視聴者が見守るというスタイルは、ゲーム実況動画のひとつのひな形になったと思います」(三代川さん)
インターネット時代が到来すると、個人でゲーム実況動画を配信する人も増え、一つのジャンルとして確立していく。
「ニコニコ動画が立ち上がってネット生放送という文化が一般的になってきてからは、ゲーム実況で有名になる人も出てきました。YouTuberという職業が成り立つようなると、ゲーム実況は世界中で人気のコンテンツとなり、例えば『ピューディーパイ』というスウェーデン人のYouTuberは、登録者数1億人を超えるという圧倒的な支持を集めています」
それだけの視聴者を獲得していれば、収益の面でも大きく期待できそうだ。では、なぜ今日本では芸能人、特に女性タレントのゲーム実況への参入が目立っているのだろうか。