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“1番打者問題”から“山田哲人問題”まで……「勝手に巨人軍論」2020夏

文春野球コラム ペナントレース2020

2020/07/08

 勝てば憎まれ、負ければ嘲笑われる我が巨人軍。ずーとファンやってくのも色々 大変なのよ、という切実な心境を観戦後の居酒屋大放談風にパッケージしてお届けします! この座談会をやる為に監督を引き受けたといっても過言ではない!という「俺たちのリアル巨人軍論」第1弾をお楽しみください!

【参加者】
「I」‐東京都出身40代。伊賀大介文春野球巨人監督。「野上2勝、岩隈4勝とか観たい」
「C」‐東京都出身30代。慎重。乙女。「好きな選手はチョ・ソンミン」
「H」‐埼玉県出身30代。新日派。文春野球が大好き。「救世主・大竹寛のヤバさ」
「M」‐秋田県出身50代。中畑清信者。「サンチェスはまだ信用できないだろ」

G党でもお手上げ!? 誰が1番打者ならいいんだ?

I「吉川、北村、湯浅大に重信、増田で……あとは亀井さんもやりましたっけね」

M「おっ、今年の1番打者問題だね。チームの調子がいいってのに、なんでこうもコロコロ変わるのかね」

I「今年はスタメン発表の瞬間から『おい、増田だぞ』『湯浅大だ』みたいに、そこから試合がはじまっちゃってる感じがあるよね。俺らを含めスタメン発表の時に『えっ? 尚輝じゃないの?』って思っている層は一定数いるわけですよ。今年はケガが無い限りずっと使い続けると思っていたら、意外と信用されていない」

H「開幕戦で逆転ホームラン打って、今年こそは尚輝と共に歩むシーズンだと思いを強くしていたところに3戦目にはもうスタメン落ちでしたからね。厳しいですよ」

C「しかし面白いもんで、そこを変えたことでチームが動いて開幕ダッシュがうまく行っちゃってる感じが出ていますね。ヤバい、早くも手玉に取られている我々のこの感じ。何でしょうね」

M「いまの状況を吉川尚輝はどう思っているんだろうねぇ……絶対『なんで増田なんだよチクショー!』って思っているだろうよ……グスン」

C「もしかしたらコンディションが万全じゃないのかもね。尚輝クン特有のやつで」

M「結論としては、多分そこなんだろうね。報道でも表出してこないので、何が起きているのか混乱しているだけでさ」

H「この1番打者の起用の感じこそが、日程が短く、延長も10回までという今シーズンの戦い方『日替わりで選手を惜しみなく注ぎ込んで一気に勝負を決める』という2020年型の采配のわかりやすい例にも思えてきますよね」

C「なんかこう、毎日毎日シリーズ男が現れる土壌を作っているようにも思えてくる。みんな一生懸命でカワイイよ」

I「去年の日本シリーズ惨敗の影響かもね。若林や田中俊太とか、あの層で全く戦えなかったことが、今年の湯浅や北村の抜擢につながっているのは感じるなぁ」

M「去年の田中俊太を見た時の“何かやりそうだけど結局何もやらずに、出囃子で手を叩いただけで終わる切なさ”は、ホークスに4連敗でやられた2019年秋の心象風景と相俟って心に影を落としているよね」

C「シリーズで手痛いミスした山本クンも……今年は存在感が無い。脇役の不在というのは本気で深刻な問題なんだよね」

I「いま野球界を見渡して一番フレッシュなのが、ホークスの栗原でしょ。すごいフックアップのされ方でスタメン取って、しかも結果も出している。これ巨人じゃそうはいかないでしょ。ホークスはブレイクしそうでしなかったという選手が少ない気がするよ。あの層の厚さのえげつなさがそう思わせるのかもだけど」

M「現実はそんなホークスが今現在パ・リーグのチームにコロコロ負けているんだよ! どうなってるんだ一体。我々からすればあのリーグの日常は解せん!」

©文藝春秋

ウィーラーがやって来たヤァヤァヤァ! そしてスガコバの今……

C「開幕早々にトレードでウィーラーを獲得しましたけど、2試合出ただけでもう昨日にはスタメン落ち。いきなり活躍するような期待はされていないんだな、と」

H「(開幕直後に加入して活躍した)モスビー枠だと思ったんですけどね。なれなかった」

M「あんなツボ持って会見やるようなウィーラーの強烈な個性でさえも、グラウンドに入れば個ではなく“巨人”に落とし込まれちゃうんだよな」

C「今年は特に選手の“パーツ感”がすごいよね。全員そんな感じがある」

H「だから今の原采配には巨人ファンでも乗れない人が結構いるでしょうね。特定の選手を応援している人ほど、パーツに落とし込まれちゃう不満がある。小林誠司の熱烈なファンの女性なんかは厳しいでしょうね」

C「いわゆるハコ推しを求められていますからね。誠司クンも尚輝クンも、出ていないけど、巨人がんばれってなってくれればいいですけど」

I「そういう意味じゃ、応援しづらくなっているんだろうね」

C「山本クンのファンにはつらい6月ですよ」

H「だから“ハコ推し”というのが令和の巨人軍であり、第三次原政権の特徴。言い方を変えれば“複数スター制”ですよ。新日本でいう闘魂三銃士、坂本・丸・岡本をベースに、馳や佐々木健介をまぶしていく。たとえ丸にアクシデントがあっても、リスクヘッジはできますからね」

C「ハセ? ……ガワクニトシ?」

M「小林ファンが一番傷ついているのは、愛しの誠司くんがいないのにチームが強いことだよ。不在を感じているのが小林ファンしかいないというのはサビシー」

I「その流れに抗っているのかは菅野だけじゃないですか。無観客で表情も抜かれやすくなってるのに、大城のサインにあからさまに『は? おまえ今スライダー出しちゃう?』みたいな表情をヘーキでやっちまう。鍛えているのか」

M「大城は高校大学直系の後輩だからね。『うわっ、ここだけ部活が続いてる。菅野さん怖え~』みたいな面白さはあるよ〜」

H「菅野が大エースとしてまだ物足りないところって、たとえばお立ち台で『誠司に感謝します』とか平気で言ってしまうところ。あれじゃあ若手捕手が『俺は菅野さんと組めねえのかな』って思っちゃうでしょ。このケガを機にコバちゃんから自立して大城の可能性を引き出すぐらいのことをやってほしい。炭谷と組んだ時の殺伐とした感じもプロ野球の魅力のひとつだと思いますからね」

I「そうそう。江川卓から『山倉のおかげです』とも、斎藤雅樹から『カルビ(村田真一)のおかげです』なんて言葉も聞いたことないでしょ。侍ジャパンから続く“仲良すぎ問題”っていうのはあるよね。ただ、そんなこともどうでもよくなるぐらい、菅野の完封劇は凄味があった」