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“1番打者問題”から“山田哲人問題”まで……「勝手に巨人軍論」2020夏

文春野球コラム ペナントレース2020

2020/07/08
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新たなコーチ像を作る元木、宮本コーチのイキイキ感。全貌を見せない石井琢朗への期待

I「丸がやっと復調の気配。今年から入った石井琢朗コーチの存在って、あんまり見えてこないけど実は巨人にとって物凄くデカいような気がしててね。もしかしたら、第2の内田順三になる人じゃないか。この何年か琢朗を巨人に置いておけるかで、この先の打撃陣の底上げが大きく変わって来るような気がしているんだよね」

H「最近の巨人は外部の血をどんどん連れてきますからね。信頼に足る歴史的な流れも大事なんですけど、村田修一コーチが岡本に影響を与えるような、そういう外からの流れも必要で、石井琢朗は広島、ヤクルトでも実績を残してきてもいます。何かが起きているんでしょうけど、ここについての詳しいことはまだ世の中に出ていない」

I「その一方で、今年もやっぱり元木と宮本の存在が異常に目立つね。長嶋監督の勝ち星に原さんが並んで、ヘッドコーチ時代に長嶋さんがこっそり原さんに采配させていたなんて逸話が出ていたけど、この先元木だってない話じゃない。インスタライブで原さんに『大介、おれの首狙ってんだろ』って言われてたでしょ。俺は10ー0の話ではないなと思って見てましたよ」

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H「元木監督はギャグっぽいですけど、僕は“元木ヘッド”に関しては、この先阿部監督になろうとNYの『あの人』が戻ってこようと、ずっと続いていくような気がしていますね。伊原春樹や須藤豊のように元木大介は巨人軍において、すごく大きな意味を持つような気がしています。広岡達朗さんはブチギレるでしょうけど」

M「そういう元木を入閣させた時に出た『ええっ元木がやるの?』というアレルギー反応をも軽やかに乗り越えてしまう原さんのキャスティングの凄さでもあるよね」

H「地上波バリバリの頃とは知名度の意味も変わって来ていて、元木なら『ヘキサゴン』、宮本なら『ズムサタ』の人ってことで若手が知っている。コーチに求められる資質というのも時代と共に変化していることを見抜いたタツノリの先見の明でしょう」

I「宮本もそうですよ。この間の菅野の完封でも『9回も行け』ってんじゃなくて『チーム初完封いってほしいなぁ』って手揉みで言ってしまう感じ。“Isn’t it”で菅野に話せる宮本がいるってことはすごい強いなって思いますよね」

C「中継でも、イニング間とか降板時にすぐにピッチャーの横に行って話している宮本コーチの画がよく抜かれていますよね」

M「元木も宮本も、絶妙なんだよ、距離感が。選手を下の名前で呼んで、いじってくれて、円陣でも盛り上げてくれるみたいな指導者は、昭和・平成の頃にはいなかった。まさに新しいタイプの、アップデートされたコーチ像ですよ」

左から原、元木、坂本

あえて言おう!! ウチのセカンドは大丈夫です!と

H「ここまで15試合が終わりましたけど、今年はCSもないので意外と短いぞという気がしますね」

M「CSがないから、目の前のペナントだけに集中できるガキの頃のプロ野球の見方が斬新だねぇ」

C「気が早いけど、日本シリーズは都市対抗で東京ドームは使えない。11月21日からだと屋外球場は厳しいし、どうやって回すつもりなんだろう」

M「プロ野球選手は年間のルーティンが体にしみついちゃっているから11月になった瞬間、身体が動かなくなるんだってさ。だから、ここからケガ人が続出する可能性は十分。日本シリーズに何人が元気なままで、パフォーマンスをできるかと考えると、壮絶なサバイバルのシーズンになりますよ」

C「最後、山本クンがスタメンにいるかもしれないし、(有鉤骨骨折の)山下航汰クンが戻ってくるかもしれない。この流れなら間違いなく使うでしょうしね」

I「湯浅がいけるんだったら、山下もいけるはず。でも、この使われ方で山下が伸びるのかというと別の話で。あのね。たとえば......わかんないですよ。これ俺は先に断固反対を表明しておきたいんですけど、オフにFAで山田哲人を獲るという話がある。でもちょっと待って。そんな事は絶対に有り得ないけど、プロテクトに山下がギリギリ入らなかったら。ヤクルトに山下と村上。奥村までショート守ってたら......」

M「地獄だ」

C「地獄だわ」

H「山田哲人が仮にFA移籍した場合、今セカンドでやっている競争が何の意味もなくなることを考えると、この先5年10年を大きく左右するFAになりますよね」

I「だからいま俺たちが『欲しいんだろ』と思われているのは心外なんだよ。お互いのことを考えるなら、今から『セカンドは大丈夫です』というアジテーションを積極的にしていった方がいいんじゃないだろうか」

M「でも、原さん語録にも『参加するのがジャイアンツ』という屈指のキラーワードがあるしね」

H「今タツノリが1番セカンドを固定しないことも、もしかしたら『1番セカンドがいない』という事実を固めて、山田にいくための言い訳じゃないかというアングルもありますよ」

C「え、今そういうことなの!?」

I「この前も『山田が打った時に敵のはずの原が笑っていた』という記事もあったよね」

M「なんだよチクショー!」

C「……でも待って。今年の巨人軍の最大のヒールって、今のところ原さんですよね。昨年までは阿部や上原という怖い存在がいたけど、今年はそこが抜けて誰もいない」

H「プロレスで言えば、みんなベビーフェイスばかりになってしまったと。そこにヒールの存在が必要となったタツノリは自ら……」

C「ヒールターン化した!!」

H「タツノリが暗黒面に墜ちたダース・ベイダーであれば、血縁のある菅野もやはりキーマン。今の菅野は若干立ち位置が中途半端なので、今年はヒールターンすることがテーマになるかもしれないですね」

I「とにかく原さんの動向に目を光らせておかないと。そして、オフに向けて『俺たちはセカンドは間に合っている』と言い続けよう」

H「開幕15試合で俺たちは何を言ってるんですかね(笑)」

I「しかし話が尽きないね(笑)。じゃあお前さんたち1ヶ月後に!!」

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