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頭を悩ませる日々……書道アーティストがホークス公式グッズをデザインするまで

文春野球コラム ペナントレース2020

2020/07/12

「ホークスからグッズを出したい」 ――書道アーティストとして活動を始めたときに掲げた目標の1つでした。

 たくさんの人が応援の気持ちを込めて掲げるグッズを書道で作ってみたい。そんなことをなんとなく子供の頃から考えていました。

 しかし、目標を掲げたものの達成する方法もイメージすらできませんでした。

 もちろん球団の知り合いもいないので、どうしたら球団に自分をアピールできるのかもわかりません。そもそもグッズのデザインがどのように行われていて、1人の書道家が関わることができるのか、全くわかりませんでした。

 色んな人に相談しました。応援してくれる人もいました。でも、どんなアクションをすればいいかわからず気持ちだけが先走っていて、毎日もどかしい気持ちと葛藤していました。

 ある日、こんな言葉をかけられました。

「そんなの無理に決まってる。SNSのフォロワーもいないくせに。そんなこという前に、まずはフォロワーを集めたら」

 この言葉をかけられて、そこから私は自分の中の何かに火がつきました。私にできるのは筆を握って作品を書くことだけということです。そこから毎日毎日書き続けて、SNSにアップし続けました。

 ビジネスもデザインもSNSも経験がない素人の私ができるのは、思いを作品に載せて届け続けることです。私はがむしゃらに、作品を皆さんに知ってもらうことに集中しました。

 結局は色んな方に協力していただくことになるのですが、この時はとにかく書いて書いて書きまくるしか方法が思いつかなかったのです。

 

実感した“SNSの力”と“プロ野球の力”

 そうやって始めたプロ野球の書道アートですが、ありがたいことにSNSを通じて色んな方にみていただけるようになりました。

 ホークスファンの方、ホークス以外のファンの方、 そして選手の方々から、たくさんの反応をいただくようになり、SNSの力とプロ野球の力を実感することができました。

「すごい!」「かっこいい!」「グッズにしてほしい!」

 たくさんの本当にありがたい声が背中を押してくれて、作品を書き続けることができました。

 そうした活動が約3ヶ月程続いた2019年の夏に1本の連絡が届きます。

「ホークスのグッズを担当している方が会ってみたいと言っている」

 それは友人とお昼ご飯を食べていた時のこと。突然の連絡に思わず声を出して驚きました。

 理解が追いつきませんでした。驚きのあまり手は震え、頭は真っ白になりました。

 最初にご挨拶させていただいたときのことは、あまりの緊張でほとんど覚えていません。いくつかのグッズのデザイン案、それとホークスへの思いを話させてもらいましたが、たぶん変なこと話していたと思います。

 自分の案を説明することは本当に緊張します。 作品を見てもらうだけでなく、そこから自分が何をできるのか、どうしていきたいのか。あくまでビジネスの場ですから、ただ上手に書けばいいわけではありません。 とにかく自分で作品の良さをアピールしました。

 その後、何度も打合せをさせていただいた後にファンフェスティバルの記念グッズのデザインをさせていただくことになりました。

 これが私の最初の公式グッズとなりました。

 SNSがなかったら、反応してくださった方がいなかったら、 届くことのなかった思いがついに届いて本当に嬉しかったです。 同時に応援してくれた方、お世話になった方に感謝の気持ちが湧き上がりました。