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レギュラー、4番、キャプテン……ベイスターズ佐野恵太の重圧を思えば、もう少しがんばれる気がする

文春野球コラム ペナントレース2020

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「不安はあっても全力でやってみて、問題が起きたら全力でがんばる」

 3月6日。鎌倉鶴岡八幡宮の必勝祈願には、首脳陣と共に選手を代表して一人だけで参拝した。佐野は寂しかったそうだ。チームメイトやファンと一緒に優勝を目指したい。ところがいきなり世界はコロナに塗れ、チームの活動を制限。誰も経験したことのない状況のなかチームは自粛に入り、選手同士のコミュニケーションも取れなくなった。何もできない期間中、大銀杏に隠れているような有象無象の不安が3代目キャプテンの首を狙ってもたげてくる。

 6月19日の開幕戦を前に「心をひとつに」というチームスローガンが発表された。筒香前キャプテンもやっていた、言葉でチームを団結させようという試みは、佐野キャプテンが発案し、選手会長の石田健大と相談して「チームがひとつの方向を向けるように」と、選手たちの意見を聞きながら自分たちで決定したそうだ。

 ひとつ、おじさんがへーっと感じたことは、この「心をひとつに」というスローガン。2018年のライジングの時と同じように、球団や応援団の意向も入っているテーマなのかと思いきや、純粋に選手たちが選手の意見を持ち寄って決めたものらしい。懸命な読者ならば「心をひとつに」が、マルチテーマ「All in one」の一節であることはご存知でしょう。自分たちが歌っている言葉を選手が聞いて心に持っていてくれるとは、うれしいものですね。

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「シーズンに入って実際に勝ち負けがついてきてからが本当の勝負でしょう。これは頭で考えているだけじゃ、何もわからない。不安はあっても全力でやってみて、問題が起きたら全力でがんばる。すべてはそれからです」

 おそらく、とんでもない重圧と責任感の中で毎日を過ごしているのだと想像する。今はまだチームも個人も結果が出ているが、そこは長いペナントレース、どこかで必ず流れが悪くなる時が来る。その時、このキャプテンとチームはどんなリーダーシップを見せてくれるのだろうか。

 ラミレスはキャプテンの条件に「筒香よりも長い期間、チームを任せられる選手」とあげていた。これは横浜の一大プロジェクトである。失敗したってどんとこい。おじさんもこの先、どんなに負けたとしも、投げ出さない。愚痴らない。ふて寝しない。だから、がんばれサノス。歴史に残る俺たちのキャプテンになれ。そして優勝と日本一を果たし、奥さんを新婚旅行に連れて行ってくれ。

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