ネコ舌若店主の「裏メニュー」
「峠そば」にはユニークなメニューが時折登場することがある。最近発見した中では、茹でたもやしがのる「もやしそば」(380円)、千葉の露天商から仕入れる青唐辛子があるときは「辛口カレー南蛮そば」(600円)、アツアツの「トマトの卵とじそば」(600円)、スライスしきれいに載せられた「トマトそば」(500円)などである。
それである時、お店で「辛口カレー南蛮そば」を食べてヒーヒーいっていると、後から来たある常連さんが「かき揚げそば、つけで」と注文している。これは380円。よく見ていると、水でしめたそばを別のどんぶりに入れ、アツいつゆとかき揚げと薬味をもうひとつのどんぶりに入れて、つまりつけそばスタイルで提供しているではないか。
若店主に聞くと、値段は同じ、つゆの濃さもかけ系と同じだそうだ。若店主がネコ舌でアツいそばが苦手だそうで、こっそりこうやって食べていたのを常連に発見され、「俺もそれで頼む」ということで誕生したメニューだそうである。もちろん、メニューには書いていないが、だれでも頼めばやってくれるそうだ。
そこで、翌週にイソイソと行って「かき揚げそば、つけで」と常連風に頼んでみた。つゆはかけつゆなので、おか田@日本橋、そばっ子@金町などのつゆとは濃さが違うが、これはこれでさっぱりといただけて大変美味である。その次の週には、「トマトの卵とじそば、つけで」と注文してみた。七味を入れて食べるとまたこれがさっぱりと暑い季節にも行ける味だ。さらに驚いたのが「つけで麺をアツ盛り」にしてもらうこともできることが判明したのだ。アツアツの麺とつゆ。冬にはそう注文する人も多いという。
ふつうの「かき揚げそば」が、「かき揚げそばつけ」、「かき揚げそばアツ盛り」、と3つのスタイルに変更できて、値段も同じ。こんな素晴らしい「峠そばシステム」が人知れず展開されていることに、至極感心したわけである。こうしたユニークかつ素敵な食べ方は、自宅でもぜひやってみたい裏ワザだと思う。若店主に脱帽である。