キッズラインに登録する男性シッター2人が、シッター先の子供へのわいせつ行為で相次いで逮捕された事件。キッズラインは事件発覚後、男性シッターの登録停止や、現場への録画・録音機器の導入を発表している。
ベビーシッターの規制緩和策として民間の研修を認める方向へ
2020年7月2日、政府の規制改革推進会議は答申を発表し、ベビーシッターの規制緩和策として研修を民間に任せ、オンライン化もしていく方向性を示した。
この規制緩和は同年3月9日にキッズラインの経沢香保子社長が規制改革推進会議の雇用・人づくりワーキンググループで「民間の私たちのようなきちんと研修をしているところを監査いただきつつ、そういった研修機会を民間に拡大していただけないか」と要望していたものだった。
「認可外保育施設指導監督基準」でベビーシッター業ができる人材は、 保育士、看護師に加え、認定ベビーシッター資格保有者と、「都道府県知事が行う研修修了者」だ。しかし、この自治体による研修の開催頻度が少ないため、民間の研修を認めていくという動きなのだ。
しかしキッズライン関係者の間では、シッターとして不適格な人物をスクリーニングすべき同社のシッター登録の過程や研修について疑義が生じている。
シッターの質の担保よりもコスト削減
「「小児性愛者だと見抜けなかった」キッズライン 関係者59人が告発する“性犯罪シッター連続逮捕”の真実」では関係者の証言をもとに、キッズラインのわいせつ事件への対応、シッター登録時の面談が対面からオンライン化していった過程について報じている。
面談のオンライン化については、キッズラインの元社員が「一部社員はシッターの質を担保できないと反対しましたが、社長の『コストがかかる』といった一言でオンライン面談をすることに決まりました」と証言している。
そして、面談のオンライン化に伴って進んでいったのが、シッター実習のオンライン化だ。
従来は、面談に合格したシッターに対して、利用者の中から募集した“ママトレーナー”の自宅で実際に子供の面倒を見る「実地研修」を実施していた。そしてママトレーナーが自宅で研修した新人シッターについての初回レビューを書き、利用者はそのレビューを参考にサポート(※子供の世話)を依頼する、というシステムになっていた。
しかしシッターの近くにママトレーナーがいないケースもあるため、徐々にオンライン化が進められていったという。
ママトレーナーのIさんが明かす。