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適性に疑問のあるシッターが合格しているケースも

 もちろん元から評価が高いシッターは丁寧なレビューがついているものが大半だろう。しかしこの指示通りに書くと、たとえシッターとして不適格な人物でも、その情報が利用者に共有されることはないということだ。別のママトレーナーLさんからは次のような証言がある。

「子供が突然部屋を出て行ってしまっても後を追わないとか、子供の機嫌が悪くなると諦めたような態度を取る人もいます。備考欄に『この人には安心してお任せできない』と書いたのにもかかわらず、その後会社から何か聞かれる事もなく、合格してお仕事を開始されている方もいました」

(キッズライン公式サイトより)

  会社側は7月1日のお知らせで《当社運営スタッフが、ママトレーナーから運営側へ報告されるレポートを確認した上で、合否判定を行っているため、実質的には評価が「5」で問題ないと判断されたサポーターが合格する運用となっております》と説明している。

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 ママトレーナーの評価能力にも幅があり、合否は運営側で総合的に判断しているということだろうが、いずれにせよ初回レビューの内容はママトレーナーの実際の評価と直結していなかったのだ。

“レビュー偽装”にキッズラインの回答は……

 また、中には “レビュー偽装”を疑わざるを得ないレビューもあった。

 たとえばこのキャラクターのアイコンのレビュアーX氏は、4月20日に北海道から福岡までの研修を担当し、8件のレビューを書いている。驚くべきことに、佐賀県と大阪府のシッターに3歳の娘のサポートを頼み、それぞれ「子供部屋から楽しそうな声が聞こえてきました」と書かれている。

レビュー偽装。サポーターの在住エリアは佐賀県 (キッズライン公式サイトより)
中野氏が作成したママトレーナーX氏のコメント一覧。同日に北海道から佐賀県までのレビューを記入しており、大阪府と佐賀県では「子供部屋から楽しそうな声が」聞こえたことになっている

 キッズラインは、著者が6月30日にこのレビューについて指摘したのを受けて、7月1日にすべてのシッターの初回レビューを非表示にしたうえで、公式サイトで次のように記載している。

《ママトレーナーのレビューは応募サポーターが合格した際には公開されるため、評価が低い場合に応募サポーターとママトレーナー間でのトラブルが発生することも想定し、評価を「5」として記載するように依頼しておりました》

《シミュレーショントレーニングとは、トラブルへの対応力等を確認するためのロールプレイ型の研修です。シミュレーショントレーニングは1対1を基本としていますが、状況により複数で行うこともございます。現在は3名を上限にしております。

 レビューについては、ロールプレイの内容に基づいて記載するよう運営より依頼していたため、実際に会ったことのないお子様への対応が、あたかも実際に接したかのように表現されておりました。上記に関しましては、利用者の皆様に実態とは異なるレビューを提供していたことを大変重く受け止め、以下改善策を実施します》