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「IT技術を活用することで、大幅にコストの削減を実現」とPR

 2020年3月9日に開かれた政府の会議、規制改革推進会議のワーキンググループで、経沢香保子社長はある資料を配布している。そこには「マッチング費」「請求・決済方法」「運営管理費」を「IT技術を活用することで、大幅にコストの削減を実現」と書かれている。

コスト削減

 面談や実習をオンライン化して、1人のレビュアーが北海道から佐賀県までの初回レビューを書くことで「マッチング費」や「運営管理費」を削減したということなのだろうか。

「キッズラインはトラブル対応も全然してくれません」

 キッズラインで家事代行を頼んだある利用者Mさんは、次のように話す。

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「キッズラインはトラブル対応も全然してくれません。今年3月ごろ、私が子供を見ている間に食事の支度をしてもらったときに、物の破損や紛失があったため、弁償してくださいと言ったんです。最大5億円の賠償保険に入っていることを安心材料の1つとして売りにしていて、保険でカバーされると思ったので。

「最大5億円の賠償責任保険」を明示している(キッズライン公式サイトより)

 でもシッターさんからは『本当に私がやったのでしょうか?』と言われ、キッズラインに連絡したのですが、事故報告書をシッターさんが出さないと保険がおりないので直接連絡をとってくださいと言われました。

 でも、補償してほしいと言ったことに腹を立てて、子供に嫌がらせをされたらどうしよう、家を知られているので何かされたらどうしようかと考えると怖くて、直接連絡をとるのは嫌だと言ったのですが。キッズラインに手数料を支払っているのに、こんな時でもシッターに直接交渉しないとダメなんでしょうか」

CtoCプラットフォームでも質の管理が重要である理由

 確かにプラットフォーマービジネスには、一般的に何かあったときの法的責任を負わない代わりに、利用者も費用が抑えられるという側面はある。しかし、CtoCプラットフォームであれど、表向き当事者同士の責任とは言いながらも、質の管理やトラブル対応についてもかなり気を配っている企業もある。

※写真はイメージ ©iStock.com

 ベビーシッターではないが、キッズラインと同様に、サービスの提供者を雇用することなく、個人事業主として、ユーザーとマッチングするプラットフォーム型の家事代行サービスを提供している「タスカジ」和田幸子社長は次のように話す。

「ユーザーからハウスキーパーへのクレームが来て、それをきちんとヒアリングして情報を蓄積するのはとても大切な作業です。マッチングは質の管理に法的責任を持たないことにはなっていますが、ユーザー体験をそこなえば大切なユーザーを失うことになるので、質の管理を行うインセンティブは運営側に働いていると思っています。

 また、質の管理に力をいれることはユーザー満足度を上げるだけではなく、『デビュー後も何かあったらすぐに運営側から連絡が来て仕事ぶりをどうやら把握されている』『ここのユーザーは運営側と距離が近いので、ちょっとした違和感ですぐに相談してしまいそう』という場作りを心がけることで、犯罪者予備軍に対し『寄り付きたくない』気持ちを持たせる効果もあると思います」(タスカジ和田社長)