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他のシッターマッチングサービスの対策は?

 バイリンガルのシッターをマッチングする「ケアファインダー」では、月額利用料を取る形式でキッズラインと課金モデルは異なるが、事前に許可を得て、シッターと利用者のメッセージのやりとりを運営側が見られるようにし、トラブルが発生した場合には介入しているという。

 ケアファインダーのモス恵社長は「利用者とシッターがいつでも弊社に連絡できる体制にしています。とくに初めての利用者の場合はシッティング前とシッティング後に直接電話で連絡し、何か不明点はないか、スムーズにシッティングが行えたかの確認をしています」と話す。

※写真はイメージ ©iStock.com

 そのほかにも「スマートシッター」はマッチングサービスからスタートしたが、2年前に保護者と会社、シッターと会社がそれぞれ契約を締結する形に変更し、ほぼ派遣型のベビーシッターサービス同様の運営に切り替えている。

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 米国のCtoCの保育系サービスでは、マッチングサイトで契約相手を探し、連絡を取ったり面談の予約をするなどのサービスを利用する場合に月額課金をし、実際のシッター等のサービスの利用については手数料を取らないという形態も多い。

 リスクについて、たとえば米大手シッターマッチングサービス「Care.com」では「スクリーニングはしておりますが、ご家庭がご自身で慎重に審査をすることを推奨します」といった表記をするなどして、シッター選びのポイント周知をしている。

キッズラインに手数料を払っているのに……

  しかし、キッズラインは利用者から20%(単発の場合。定期利用は10%)、シッター側から10%の手数料を徴収している。安心安全を謳い、ある程度の手数料を徴収しているからこそ、利用者もそれ相応の審査がされていると思い、トラブル対応も求めるのだろう。

第11回ベストマザー賞2018を受賞した(左から)食育インストラクターの和田明日香氏、スポーツコメンテーターの杉山愛、歌手の安倍なつみ、「森三中」の大島美幸、キッズラインCEOの経沢香保子氏。日本マザーズ協会が制定する同賞は子育て中の母親たちの投票によって選出された ©時事通信社

 キッズラインに事実関係について文書で確認したところ、次のような回答があった。

「従前お伝えしていますとおり、弊社としては、全ての個別取材に対応することはいたしかねます。誠に恐縮ではございますが、今回のご質問に対しても、直接ご回答差し上げることはできかねますのでご了承ください」

「弊社といたしましては、今後も改善点の把握と安全対策の実行に努めてまいります。また、必要かつ適正な情報に関しては、積極的に情報を開示すると共に、ホームページにより公表してまいります」

 従来、派遣型の家事代行やシッターは、同じ人に頼みたくても直接のやりとりができなかったり、急な必要性に応じられなかったりと融通が利きづらかった。

 マッチングサービスでは、家事であれば、整理整頓のプロやレストランでシェフをしていた人が料理の作り置きをしてくれたり、シッターであればバイリンガルシッターに英語も教えてもらえたりと、 利用者が働き手の個性を見て頼む人を選ぶことができるという強みもある。キッズラインにも、信頼を積み重ねたシッターやそれに助けられた利用者も多かっただろう。

  今回の事件を受けてマッチング型はダメだと言うのは早計だ。ただ、言えることは、善良な働き手たちのためにも、その質の管理と評価システムの機能は大事であるということ。そしてコストを下げながら、手数料がしっかりと入ってくるモデルで数字追って上場を目指したい事業者は、少なくとも子どもの命や一生にかかわる保育やケア領域以外の分野を選んだほうがいいのではないかということだ。

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