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「24時間テレビ」“中興の祖”に注目させる、てれびのスキマ「日テレ物語」

「週刊文春」8月31日号 最新レビュー

2017/08/26
note

 “転職者たち”の貪欲さが成功を生む

 それほどのテレビマンだが、新卒で日テレに入ったのではなかった。

 もともとはCM制作に携わっていたのが、偶然テレビで中途採用試験の告知CMを見て、応募し、合格したのであった。その試験は、応募者4000人に対して合格者はわずかに4人、試験は7次にも及んだ。

 80年代のフジの快進撃は、「オレたちひょうきん族」のディレクター陣でもある、佐藤義和や三宅恵介、荻野繁ら制作会社からの転職者たちの活躍によるところが大きいと言われる。日テレにあっても、五味と同様に中途採用制度で菅賢治らが採用となり、後の日テレのスタープロデューサーへとなっていく。

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膝をつく日枝久編成局長(当時)を懺悔室で囲む「ひょうきん族」の面々 

 転職ではないが、広告の世界では電通で新卒採用時ではなく入社後に転局試験を受けてクリエーティブ局に移り、大成した者が多い。現在「シンガタ」の佐々木宏(新聞・雑誌局)、「ピタゴラスイッチ」などで知られる佐藤雅彦(SP局)、「タグボート」の岡康道・多田琢(ともに営業局)らがそうである。クリエイティブ・ディレクターの中村禎は著書のなかで、他部署の経験によって養われた多角的な視野と、貪欲さが転局者の強みと述べている。

五味一男氏 ©共同通信社

 五味の場合はどうか。転職者ゆえの視野や貪欲さもあったろう。そのうえ、日テレ入社後に味わう、苛烈な出来事の影響があったようだ。第二回のいよいよ終わり、戸部田はこう書いて、次回につなぐ。

《番組制作にかかわり始めた頃、今でも忘れられない経験をしている。ある数字を見て愕然としたのだ。》

 ある数字とは何か。来週号を待つよりほかない。

(注)水道橋博士のメルマ旬報 vol.102 2016年11月20日号 村上和彦『B級テレビマン・メモワール』より

「24時間テレビ」“中興の祖”に注目させる、てれびのスキマ「日テレ物語」

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