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日本生まれ日本育ちの大物白人至上主義者 

 アメリカのヘイト・グループを追跡調査するSPLC(Southern Poverty Law Center)は、米国に現在も多数あるヘイト・グループを17のカテゴリーに分けている。KKKはそのひとつだが、「白人国粋主義」「ネオ・ナチ」など、黒人排斥を訴えるものは他にも複数ある。 

 白人国粋主義のカテゴリーに登録されている人物の1人が、ジャレッド・テイラー(68)だ。テイラーは日本生まれのアメリカ人だ。宣教師である両親の日本滞在中、1951年に神戸で生まれ、16歳まで日本で育っている。米国に戻った後にイェール大学で哲学を修め、フランスのパリ政治学院では国際経済を学んでいる。英語、日本語、フランス語に堪能であり、ハーヴァード大学で日本語を教えていたほか、日本の企業と関わる仕事を手掛けていた時期もある。

ジャレッド・テイラー ©getty

 テイラーは1990年に白人至上主義の雑誌アメリカン・ルネッサンスを発行開始。著作も多数あり、かつ白人至上主義イベントを開催するなど、現在に至るまで活動を続けている。 

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 人種による知能指数の違いを研究し、その内容を激しく批判されていたフィリペ・ラシュトン博士(故人)の説を信じるテイラーは、自身のイベントに博士を招いてレクチャーさせたこともあった。ラシュトン博士によると、ヨーロッパ人(白人)の知能指数は高く、アフリカ人は低い。しかしアフリカ人に比べるとアメリカ黒人はやや高い。驚くべき点は、東アジア人は白人よりも若干高いとしていることだ。 

 テイラーは親日家であることも手伝ってか、この説を強く信じているが、反移民主義者でもある。生まれ故郷の日本を好きであり続け、日本人のIQは高いとしながらも、アメリカはヨーロッパ人(白人)のみで構成されるべきであり、日本人が移民としてアメリカにやってくることには反対なのだ。

 したがって前回の大統領選では「メキシコとの国境に壁を建てる」「米国にいるビザ無し移民推定1,100万人を全員強制退去」など、トランプの荒唐無稽な公約が実現されるとは信じていないとしたものの、移民排斥に共感し、トランプを支持した。 

「人種的、文化的に均質」と持ち上げられる日本 

 ジャレッド・テイラーは、日本を「人種的、文化的に均質」であるとして、多様化した西側諸国より優れた国になるだろうと発言している。元KKKリーダーのデヴィッド・デューク(70)、オルタナ右翼リーダーのリチャード・スペンサー(42)、2015年にサウス・カロライナ州の黒人教会で乱射し、信者9人を殺害した単独犯ディラン・ルーフ(26)、2011年にノルウェーでの連続テロ事件で計77人を殺害したとされるアンネシュ・ベーリング・ブレイビク容疑者(41)など、所属グループ・年齢・国を問わず、多くの白人至上主義者が同様の意見を掲げている。