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「日本アゲ」をしてるあの白人は誰? オルタナ右翼が日本に抱く「ゆがんだ憧れ」

2020/07/10

 1865年6月19日、アメリカで長らく続いた奴隷制度がついに終わった。この日は「奴隷解放記念日」と呼ばれるが、これまではアフリカ系アメリカ人以外には知られることのない祝日だった。

 ところが今年、Black Lives Matterの盛り上がりが奴隷史の見直しにも波及し、多くの企業がこの日を急遽、祝日休業とした。同時にカマラ・ハリス上院議員が連邦の祝日(日本の国民の祝日に相当)とする法案も提出している。 

 奴隷解放は米国史上の非常に大きなターニング・ポイントであったが、わずか半年後の同年12月、テネシー州にて白人至上主義グループKKK(クー・クラックス・クラン)が結成されている。奴隷解放に納得できず、白人の優位性を訴え、黒人を迫害することが目的の集団だ。 

KKKのメンバー ©getty

白人至上主義集団「KKK」とは何者か

 オリジナル・メンバーは6人の元南軍将校だ。映画などによく登場する白い頭巾は結成当初は使われていなかったが、シンボルマークは十字架をモチーフとしている。つまりキリスト教徒たちであり、黒人以外にユダヤ系、後には移民、左翼主義者、LGBTQなども排斥の対象としている。自身と同じ欧州系白人・キリスト教徒・保守派・異性愛者以外を一切受け付けないのである。 

 KKKは瞬く間に南部全域から全米に広がり、多くのメンバーを得た。経済的に成功した黒人、白人に対して「生意気」な態度を取る黒人、白人女性を襲った、レイプした(と虚偽の糾弾をされた)黒人男性をリンチ、殺害した。黒人を木に吊るし、殴打、身体の一部を切り取り、火を点けた。リンチは見世物として行われ、多くの見物人がやってきて、遺体の記念写真も撮影された。 

 そんなKKKもいつしか規模が衰えていくが、1915年にKKKを描いた映画『國民の創生』の公開により第2期を迎える。その後、1950年代から60年代に公民権運動が起こると、KKKの活動はまたもや活発となった。

 2009年にバラク・オバマがアメリカ史上初の黒人大統領になると、その時期までに格段に減っていたKKKを含むヘイト団体の数が急増した。奴隷制の終焉時と同じく、黒人が白人と同じ権利や立場を得ようとするたびに、白人至上主義は活発化するのである。 

 そして2020年。11月に大統領選を控えた今年、コロナ禍に見舞われて300万人を超える感染者、13万人超の死者が出ている。全米がロックダウンとなり、経済はかつてない規模で停滞。そんな中、5月に黒人男性ジョージ・フロイド氏が白人警官に殺害される事件が起き、ブラック・ライブズ・マター抗議デモは今も続いている。

©getty

 コロナ禍とデモの両方をうまく捌けずにいるトランプの支持率は下がり、トランプ本人と支持者は大いに焦っている。そもそもレイシストであるトランプの支持者には強硬な白人至上主義者がおり、今また不気味な動向を見せている。