昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

2020/07/12

genre : ニュース, 社会

 ヤクザかどうかということが一目で分かるのが風呂だ。風呂に入れるのは、基本的に夏場は週に3回で冬は2回という。この際は全員が裸になるため、入れ墨ですぐに識別される。中には、自分の親分や兄貴分の売り込みやアピールのために、彼らの名前の入れ墨をしていることもある。

 山口組系幹部は、「若い衆が私の名前の入れ墨をしてくれている。そうすることで、他の受刑者から『あそこの親分のところの組員なのか』ということになる」と説明する。別の指定暴力団幹部も「自分のオヤジ(組長)の名前を胸に入れ墨している」と話した。

(写真はイメージ)©iStock.com

“おつとめ後”の昇格も暴対法違反に

 刑務所では基本的に病気治療は無料でなされる。前出の稲川会系幹部も「歯の治療は全て無料でやってもらった」。しかし、「病気は禁物だ」とも話す。

「刑務所の中で病気になったら危ない。通常は、医者は巡回してくるので具合が少々悪くても医者が来るのを待たなければならない。かつて、同じ部屋にいた者で『具合が悪い』と言い出したのがいた。朝、起きると熱があったようだった。その後、運ばれて行ったが、帰って来なかった。後に死んだと聞いた」(稲川会系幹部)

 かつてヤクザは対立抗争事件で大きな成果を上げて長期の刑期を満了すれば、組織の功労者として迎え入れられることが多かった。

 いまや警察当局はここにも規制を加え、暴力団対策法に「称揚の禁止」という規定を追加した。服役を終えた組員に慰労金を出したり、昇格させたりすることを禁じるこの規定で、神戸山口組宅見組組長の入江禎が摘発されたこともある。

(写真はイメージ)©iStock.com

 近年、暴力団による事件は重罰化の傾向にあり、殺人事件で無期懲役、殺人未遂で懲役20年となるケースもある。いまの暴力団業界を取り巻く環境を考えると、刑期満了で出所したころには元々所属していた組織は消滅している可能性もある。それでもある指定暴力団幹部はこう証言する。

「ウチの組織にはケンカがあれば、ぜひ行きたいと言っている若い衆がまだまだいる」

 ヤクザと刑務所の切っても切れない関係はまだ続きそうだ。(敬称略)

この記事の写真(5枚)

ツイッターをフォローして最新記事をいち早く読もう

文春オンラインをフォロー