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親から子へ世代を超えて連鎖する虐待
虐待の連鎖——。思い出されるのは、2010年7月に起きた“大阪2歳児放置死事件”だ。
大阪市西区のマンションで3歳女児と1歳9か月の男児が餓死するといった事件が起きた。逮捕されたのは当時23歳だった風俗店勤務の女性。女性は男性と遊びたいがために子供が部屋から出られないように扉に粘着テープを張るなどして1カ月間以上放置し、餓死させたとして死体遺棄、殺人容疑で逮捕、起訴された。
この女性は自身が5歳の頃に、夜間に不衛生な部屋に置き去りにされるといったネグレクトを受けていたことが明らかになっている。杉山春が書いた「ルポ 虐待——大阪二児置き去り死事件」(ちくま新書)は、いかにして虐待が世代を超えて繰り返されるのかに迫っている。
今回の事件の捜査関係者が語る。
「亡くなった稀華ちゃんは発見された時、汚れたオムツを長時間つけていたためか、お尻の肌がただれていた。過去にも同じように肌がただれたことがあり、医療機関で診察を受けていたことが分かっている。胃の中はほとんどカラッポの状態で、免疫に関する臓器である『胸腺』が委縮してしまっていた。体重は3歳の平均を下回る11キロしかなかった」
この事件も虐待の連鎖が生んだ悲劇なのだろうか。
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