「人事異動で部署が変っても4年間持続的にセクシャルハラスメントを受けた」 

「ソウル市庁内部に被害を訴えたが、『朴市長はそんな人じゃない。君の役割は、(朴市長の)気持ちを補佐すべきものではないか』と黙殺された」 

「巨大な権力を前に声が出せなかった」 

ADVERTISEMENT

「自殺により公訴権がなくなったとしても、真相は究明されなければいけない」 

故朴元淳市長 ©getty

 7月13日、故朴元淳市長の葬儀が終わった午後2時に開かれた記者会見。故朴ソウル市長によるセクシャルハラスメントをその生前、訴えていた元秘書の状況と立場を担当弁護士らがこう代弁した。

 セクハラ行為については、「楽しく仕事をするためにふたりで写メを撮ろうと被害者の身体を密着させたり」、「被害者の膝にあったあざを見て、“フウしてあげる”と膝に自分の唇をつけた」、「テレグラムの秘密チャットルームに招待し、持続的に卑猥なメッセージや下着だけをつけた写真を送ってきた」ことなどを明らかにした。 

 元秘書についてのフェイクニュースがネット上で飛び交い、故朴市長の熱烈な支持層からは「絶対に探し出してやる」「教育し直してやる」といった声が上がり、二次被害の懸念が深まっていたこと、そして、被疑者の死により公訴権が消滅し、告訴がうやむやになることを怖れての会見だったという。 

「持病か」「賄賂か」駆け巡った憶測

「朴市長失踪」の報が駆け巡ったのは9日夕方17時過ぎだった。この報に「最初はフェイクニュースかと思いました」と中道系紙記者は言う。 

「実際に行方が分からないことが確認されて、一体何が起きているのか見当もつかなかった。賄賂でも受けて朴市長に検察の特別捜査が入ったのか? いや、持病か? そんな憶測が飛び交う中で、前日(8日)に朴市長の元秘書がセクハラで朴市長をソウル地方警察庁に訴えていたというのが分かり、呆然としました。

『セクハラは犯罪』と韓国社会に知らしめた人物がセクハラなんて。信じられなかった。ともかく自分の口から説明してほしいと思っていたのですが……」 

 警察や消防など300人ほどが動員され、最後の姿が確認された市内の山中での捜索が続いたが、訃報が流れたのは日づけが変わってまもなく。故朴市長は9日は朝から体調が優れないと公務を休んでいて、その日の夕方、不穏な電話を受け取った朴市長の娘が警察に失踪願いを出していた。