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なぜなら「その指示や意見が正しいのか?」「もっと有効な方法があるのではないか?」などの本来あるべき議論のプロセスが行われなくなり、その場の参加者のモチベーションも失われ、新しいアイディアが枯渇するからです。
ちっぽけなプライドと地位を守るためだけの論法
しかし悲しいかな、日本的な年功序列の組織では、生産性が低く自信のない上司が、ちっぽけなプライドと地位を守るために脅迫論証や権威論証を駆使し、マウンティングに励む光景が日常化しています。
その結局、ただただマウンティングをしたい当事者が満足するだけで、誰も幸せにならない。
「これが我が社の方針だから」「部長がそう言っているんだから」
そんな言葉はもう聞き飽きた。あなたの意見は何なんだ、あなたの仕事は何なんだ? こうした「問いかけ」が今後、このコロナ禍に負けないためにも必要になります。
そして、これは自分自身への問いかけでもあります。今回の騒動でヒートアップし、本来の論点から逸脱して木下さんへの単なる人格攻撃に走っている人などは、世間の風潮にただ乗りして悪意の言葉でマウンティングしているだけだと自覚すべきです。批判しているつもりが、そのまま同じ過ちを犯していることになる。
「みんなそう言っている!」という数の論理で主張を押し通そうとする「多数論証」も、日本の創造性や生産性を阻害する悪しき屁理屈のひとつなのですから。