7月15日、第163回直木三十五賞(日本文学振興会主催)の選考会が東京・築地の料亭「新喜楽」で開かれ、馳星周さん(55)の『少年と犬』(文藝春秋)が選ばれた。

 馳さんは、文芸評論家として活動していた1996年に、『不夜城』で小説家デビュー。中国人マフィアが勢力争いをする新宿歌舞伎町を舞台に、日本と台湾ハーフの男性を描き、第116回の直木賞候補に。以後、第120回に『夜光虫』、第122回に『M』、第130回に『生誕祭』、第138回に『約束の地で』、第153回に『アンタッチャブル』で直木賞候補入りしており、今回は7回目のノミネートだった。

馳星周さん

《馳星周さんプロフィール》

ADVERTISEMENT

1965年生まれ。横浜市立大学卒業。書評家などを経て、96年『不夜城』でデビュー。

〈作品〉『不夜城』1996年角川書店刊=第18回吉川英治文学新人賞受賞、第15回日本冒険小説協会大賞受賞。『鎮魂歌 不夜城Ⅱ』97年角川書店刊=第51回日本推理作家協会賞(長編部門)受賞。『漂流街』98年徳間書店刊=第1回大藪春彦賞受賞。『蒼き山嶺』2018年光文社刊。『雨降る森の犬』18年集英社刊。『四神の旗』20年中央公論新社刊、ほか多数。

『少年と犬』(文藝春秋)

 直木三十五賞は、菊池寛(明治21年~昭和23年)が芥川賞とともに、昭和10年に制定したもの。新進・中堅作家によるエンターテインメント作品の単行本(長編小説もしくは短編集)のなかから、最も優秀な作品に贈られる。正賞は懐中時計、副賞は100万円。

 現在の選考委員は、浅田次郎・伊集院静・角田光代・北方謙三・桐野夏生・髙村薫・林真理子・三浦しをん・宮部みゆきの各氏が務めている。

■第163回直木三十五賞 候補作(出版社)※作者五十音順・敬称略

伊吹有喜「雲を紡ぐ」(文藝春秋)
今村翔吾「じんかん」(講談社)
澤田瞳子「能楽ものがたり 稚児桜」(淡交社)
遠田潤子「銀花の蔵」(新潮社)
馳星周「少年と犬」(文藝春秋)