昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

「私は真実が知りたい」“森友”自殺財務省職員の妻・赤木雅子さんの意見陳述全文

 森友学園との国有地取引をめぐって財務省の上司に公文書の改ざんを強いられ、それを苦にした財務省近畿財務局の上席国有財産管理官・赤木俊夫さん(享年54)は、2018年3月7日、自ら命を絶った。

 赤木さんの妻・雅子さんは「真実が知りたい」として、国と佐川宣寿元財務省理財局長を相手取った損害賠償請求訴訟を起こした。7月15日、この裁判の第1回口頭弁論が大阪地裁で行われた。雅子さんが法廷で行った意見陳述の全文を公開する。

◆ ◆ ◆

 私の夫、赤木俊夫は決裁文書を改ざんしたことを悔やみ、自ら人生の終止符を打ちました。2018年3月7日のことです。

 夫は震える手で遺書や手記を残してくれました。

 私は夫の死後2年経過した2020年3月18日、やっと遺書や手記を公表しました。

 そして、同じ日に、夫が自ら命を絶った原因と経緯を明らかにし、夫と同じように国家公務員が死に追い詰められることがないようにするため、そして、事実を公的な場所で説明したかったという夫の遺志を継ぐため、国と佐川さんを訴えるところまで進みました。

 以下、この訴訟に対する私の思いを陳述させて頂きます。

 

 夫は、亡くなるおよそ1年前である2017年2月26日(日曜日)、私と神戸市内の梅林公園にいた時、近畿財務局の上司である池田靖さんに呼び出され、森友学園への国有地払い下げに関する決裁文書を改ざんしました。

 決裁文書を書き換えることは犯罪です。

 夫は「私の雇い主は日本国民。国民のために仕事ができる国家公務員に誇りを持っています」と生前知人に話していた程国家公務員の仕事に誇りを持っていました。

 そのような夫が決裁文書の書き換えという犯罪を強制されたのです。夫の残した手記によると、夫は改ざんを指示された際に「抵抗した」とあります。また、私は、夫の死後、池田さんからも、夫は改ざんに最初から反対していたと聞きました。

赤木雅子さんが掲げる夫・俊夫さんの生前の写真 ©文藝春秋

 夫が決裁文書の改ざんによって受けた心の痛みはどれだけのものだったでしょうか。国家公務員としての誇りを失ったでしょうし、強い自責の念に襲われたと思います。

 夫は手記や遺書に「この事実を知り、抵抗したとはいえ関わった者としての責任をどう取るか、ずっと考えてきました。 事実を、公的な場所でしっかりと説明することができません。今の健康状態と体力ではこの方法をとるしかありませんでした。(55才の春を迎えることができない儚さと怖さ)」、「現場として相当抵抗し、最終的には小西次長が修正に応じ、修正前の調書に合わせて自ら、チェックマークを入れてを整えました。事実を知っている者として責任を取ります。」と書いています。

 夫は改ざんしたことを犯罪を犯したのだと受け止め、国民の皆さんに死んでお詫びすることにしたんだと思います。夫の残した手記は日本国民の皆さんに残した謝罪文だと思います。