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舞台クラスター出演俳優を直撃「 “出待ち禁止”にしていたが、ファンは握手しないと家までついてきちゃう」

舞台クラスター出演俳優を直撃「 “出待ち禁止”にしていたが、ファンは握手しないと家までついてきちゃう」

自身もコロナ陽性「とにかくだるかったが、舞台の疲れだと……」

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なぜ彼らは体調不良を申し出なかったのか

「千秋楽では別の出演者Cも体調不良を訴えました。実はCは数日前から体調が悪かったようなのですが、周りに迷惑をかけるかもしれないし、ということで黙っていた。でもBが4日に体調不良を訴えたことを聞いて、5日に自分も体調が悪いとスタッフに相談したそうです。そして千秋楽後にCがPCR検査を受けたところ、6日に陽性反応が出てしまった。僕たちがそのことを知らされたのは7日です。他の演者やスタッフも『マジか!!』『ヤバイよ』『そういわれてみれば自分も……』となって、病院へ駆け込んで検査を受けたところ次々にコロナ感染が発覚した。僕もその中の1人です」(A氏)

 BやCはもちろんのこと、なぜ彼らは体調不良を申し出なかったのか。

「実は……僕も千秋楽後に気だるさがありました。なんていうか、めっちゃ眠いんですよ。めっちゃ眠いし、とにかくだるかった。でも、体調が悪いのは舞台の疲れからきているものだと思っていました。今回の『THE★JINRO』は2部制で、1部は20分の演劇で、2部は人狼ゲームを60分するんです。普通の演劇よりも頭を使うので、終わったときはいつもヘトヘトで……。言い訳になるかもしれませんが、まさかコロナに感染しているだなんて思いもしなかったんです」(A氏)

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新宿シアターモリエール(公式サイトより)

「僕らには赤字に耐えられるような収入がない」

 A氏はじめ主催者側は「気をつけていた」と主張する一方、認識が甘かったことにも気付きつつあるようだ。

「尾上松緑さんが僕たちのことを批判するブログを書かれていましたが、警備や感染対策など、僕たちなりに努力はしました。でも、かけられるお金にも限界があります。握手会や撮影会ができないこの状況だと物販にも期待できませんし、僕らには赤字に耐えられるような収入だってない。宝塚や歌舞伎と同じレベルでの感染対策はできません。

 舞台に出演するアイドルたちは今も小さなライブハウスやイベント会場でファンミーティングを続けていますし、演劇だけで食べていけない俳優の中には『夜の街関連』でバイトする子もいます。僕たちにお金を遣ってくれるファンの方にも『夜の街関連』で働く人も多い。みんなどこで感染しているかわからない。もう僕たちみたいな俳優は舞台に出るなってことなんですかね……」

 今回の集団感染を受け、萩生田光一文科相は会見で「あらゆる舞台に関わる皆さんがガイドラインをしっかり守って安全な公演をしていただくことを期待している」と語った。だが、A氏は「安全な舞台なんてないですよ」と深いため息をついていた。

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