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 この「こじるり」の全国の視聴者に向けた、「私、常に集中してますよ」という聞く姿勢のプレゼン。特にWeb会議三昧の上司や会社の先輩方には、存分に見習っていただきたいです。え? そんなことは「こじるり」じゃないから難しい? だったら部下がオリジナルな提案をした時だけでもいいですから、「秘技・西川きよし」を試してみてください。1時間の会議中に、どこで目力をオンにして、どこでオフにすればいいのか自分で決めればいいんですから。発言者は「オレの提案、もしかして上司に刺さった?」と思い、会議が終わった後も、いい気分で仕事ができること請け合いです。

その2)「こういうことでしょ?」の確認は、話の途中に“合いの手”で

 Web会議で懸命に報告や提案をした後に、上司や先輩が「これってこういうことでしょ?」と要約した内容が、微妙にズレていたり、聞き手の恣意的な受け取りになっていたりすると、吉本新喜劇並みに椅子から転げ落ちそうになりますよね。「オレの話、ちゃんと聞いていなかったんかーい!」と。

 しかもWeb会議は、参加者が空気感を共有しづらい上に、人の発言を肯定するならまだしも、否定は特にしづらい状況にあります。それが上司と部下の関係性ならばなおさらです。

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 でも話者の言わんとすることを、聞き手が適切に理解できていないことは、コミュニケーションの世界では日常茶飯事です。ならば、「これって、こういうことでしょ?」という確認を、発言者の発表が終わった後にするのではなく、話者の話の途中で、しかも言葉を遮らないように合いの手として入れていく。これを達人レベルで行っているのが、「こじるり」なんですよ……。

小島瑠璃子 ©文藝春秋

 7月11日放送の『サタデープラス』で、女性芸人のバービーが「レジを通らなくても買い物ができるスーパー」を取材した時のことです。専用アプリで商品のバーコードをかざせば、合計金額が画面上に常に表示されるため、買いすぎを防ぐこともでき、さらに画面上でアプリに登録したクレジットカードのワンタッチ決済が可能で、レジ列に並ばなくていい……と紹介されたところで、まだVTRが終わっていないにもかかわらず、「こじるり」はリポートの重大な気づきを発見してしまいます。

 ワイプの中の「こじるり」は、「買い物カゴに自分のエコバッグを入れておいて、その上から商品を入れていけば、完全に他人と非接触のまま買い物が完了できる」という内容を、リポートの邪魔にならないような音量で囁くのです。しかもその中身はVTRの結末を補完するような内容。「こじるり」のコメントがあったことで、視聴者は「ああ、確かにこのスーパーは最先端の取り組みをしているわ」と、理解が深まるのです。

 部下の提案内容を上司や先輩だけが理解していては、会議の場としてはもったいない気がします。Web会議には、その様子を見ている参加者が大勢いるのです。「こじるり」が常に番組を俯瞰で見ながら、視聴者の興味と理解を深めるという全体利益に向かってちょっとずつ身を削るように、聞き手となる上司や先輩も、発言者の気持ちを高め、参加者全員の理解が深まるよう、確認の合いの手を入れてもらいたいのです。