お風呂上がりのマスクは辛い!
客室に入り荷ほどきをして、お茶とお菓子をいただいてから、すぐに大浴場に行った。先客はいない。脱衣所の棚も洗い場も、1席分を空けるように表示されてある。
一目散に露天風呂を目指した。露天風呂で大の字になって、のびのびと手足を広げる。「うぅううううううううう~」と、低い唸り声が出た。
長年温泉に入ってきた者として伝授しよう。入った時にふと出る声には、その日の心情が反映されている。気持ちがいいな、くらいの時は「うわぁ~」と高い声が出るが、心底、温泉が身体に染み渡った時には、快感の声が低くなる。
目の前には初夏特有の濃い緑が広がっている。空気も美味しい。そういえば、マスクを外して外にいること自体が珍しいのだ。
大満足だ。
誰もいない脱衣所で、汗が引くまで少し涼んで、浴衣を着た。習慣でマスクをしようとしたが、どうにも息苦しい。初めて気づいたが、湯上がりのマスクは本当に辛いものがある。それでもつけて部屋に戻ると、マスクには汗が滲んでいた。
フェイスシールドも見慣れてきた
夕食まで、部屋でうたたねする。平日の旅館での昼寝は幸せ。
夕食の時間になり、1階の食事処へ行くとやはり入口に消毒液が置かれてある。席に案内してくれたスタッフもフェイスシールドをしていたが、もうこの時には見慣れてきていた。隣のテーブルは空けてあり、飛び石でテーブルが使われていた。マスクを外し、食事を楽しむ。
夕食のメニューには、こう書かれてある。
お客さまに安全にお食事を楽しんでいただけるよう、下記の取り組みを行っています。
ご理解、ご協力をお願い申し上げます。
密集を避けるため
・お食事時間は二部入替制としています
・フリードリンクは、セルフからオーダー制に変更しています
密接を避けるため
・口頭でのご説明は最小限としています。お料理の説明は裏面をご覧ください
・お客様と距離をあけて接客させて頂きます
接触を減らすため
・メニュー用紙は再利用せず、破棄しています
・空いた食器を下げに伺う頻度を最小限にしています
スタッフとの対話は避けた方がいいとわかっていたものの、飲み物を持って来てくれた女性スタッフのフェイスシールド越しに滲む汗が見えて、つい「暑いですよね、大変ですね」と話しかけてしまった。