――色々なメディアで取り上げられているのを目にしました。
小川 わが社の広告をTwitterで拡散した2日後に、観光関連のウェブメディアに取り上げられまして。「いいね」が2.5万、リツイートが1万強になりました。プランとしては700件分を用意していたのですが、3日目には完売しました。テレビでも取り上げていただきましたが、その時には既に完売していたので、ご覧になってからお問い合わせいただいた方にはお断りせざるを得ず、お叱りもいただきました。
3月末の時点で全館休館を決めていた
――そうした形で話題になりながらも、緊急事態宣言が発令された当日の4月7日には、いち早く全館休館を発表しましたね。全国の旅館の先駆けだったのが印象的でした。
小川 4月9日から4月末までの期間、一の湯全館を休館することは3月31日の時点で決め、そこから準備を始めていました。緊急事態宣言の延長で、結局は5月末まで閉館することになりましたが。
――休館の準備と言いますと、予約していたお客さんへの連絡以外には、どんな仕事があるのでしょうか。
小川 最初におこなったのは、一の湯労働組合への連絡です。休業中の従業員170名分の100%の給与支払いを約束して、それから4月分を予約してくださったお客様へ連絡をしました。あとは、休館中の施設の保全手配や食材管理をどうするかなどの対策です。10箇所の宿泊施設を一斉に休むには、その準備が途方もなく大変で。慌ただしく1週間が過ぎました。
「体調不良の従業員が出たんです」
――3月末の時点で全館休館を決めた背景には、どのような考えがあったのでしょうか?
小川 実は3月上旬に、体調不良の従業員が出たんです。結局、コロナには感染していませんでしたが、そのスタッフが働いていた施設の従業員8人には、念のため自宅待機の処置を取りました。うちは、全ての施設を従業員全員が持ち回りで担当しているので、8人休ませても運営的に深刻な影響はありません。ただ、このまま営業を続けることで、お客様と従業員の命を危険に晒してしまうんじゃないかと思いはじめまして……。最も大切なのは人命です。お金の損失は後から補えますが、人の命は戻ってこないので。
――旅館によっては、休館する際の損失を考え、営業し続けるかどうか、ずいぶん迷ったところもあるようですが。
小川 私は社長に就任して丸2年になりますが、まず去年の5月には大涌谷の警戒レベルが1から2へ引き上げられました。10月には台風19号により、箱根登山鉄道の線路が流されるという大打撃も受けました。
――そうでした。昨年から、箱根は自然災害が重なっていますね。